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予防には栄養・運動・人との交流が大切~茨城・取手で「フレイルの日」講演会

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指を動かす運動で「フレイルチェック」をする参加者(2月1日、取手市の「取手ウェルネスプラザ」で)

 加齢で心身が衰えるフレイルの予防をテーマにした講演会が1日、茨城県取手市の取手ウェルネスプラザで開かれた。

大内尉義・SWC協議会理事長

 2月1日の「フレイルの日」を記念して、予防事業に取り組む産学官組織「スマートウエルネスコミュニティ(SWC)協議会」(理事長=大内尉義・虎の門病院顧問)と取手市が主催し、会場とオンラインを合わせて約230人が参加した。

 冒頭、大内理事長が、「フレイル予防には、栄養、運動、社会参加が大切」と説明。「昔は、筋トレは若い人がするものだったが、今は高齢者こそ筋トレをやりましょう」と呼び掛けた。

 

栄養・運動 具体的な取り組み方をアドバイス

 筑波大発のベンチャー企業「つくばウエルネスリサーチ」副社長で保健師の塚尾晶子さんは「90歳代でも海外旅行ができる体を維持できる運動を教えます」と題して具体的な筋力トレーニングのやり方を解説した。まず、片足で30秒立って同じ姿勢を保つ「開眼片足立ち」で、体力チェックを行った。また、「スクワット」や椅子に座って太ももを胸に近づける運動などを、実演を交えて説明。会場の人たちも一緒に体を動かした。塚尾さんは「筋力トレーニングは足腰を強くするだけでなく、免疫力を上げ、感染症のリスクを下げる。笑顔で体を動かしましょう」と促した。

塚尾さんたちの実演に合わせてスクワット(太ももの体操)をする参加者

 続いて、タニタヘルスリンクの保健師、島田保子さんが「フレイルチェック」として、「1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施しているか」「1日1回以上は、誰かと一緒に食事をするか」など、「栄養」「運動」「社会参加」の計11項目が自身にあてはまるかどうかを参加者と確認した。

「食べこぼし」「むせ」口の機能の衰えに注意

予防には運動・人との交流が大切~茨城・取手で「フレイルの日」講演会

佐藤豊・JAとりで総合医療センター
歯科口腔外科長

 「オーラルフレイルと口の健康」とのテーマで講演した、JAとりで総合医療センター歯科口腔こうくう外科の佐藤豊科長は、「ささいな口の衰えにも気をつけましょう」と注意を促した。「滑舌の低下」「食べこぼし」「かめない食べ物が増える」「わずかなむせ」などに早めに気づき対応することが大切だとして、こうした口の機能の低下が身体のフレイルにもつながると指摘した。対策として「口の中で舌を回したり、つばを飲み込んだりして口の機能を維持・改善しましょう」とアドバイスし、「老化だとあきらめずに、歯科医院で口の中を見てもらいましょう」と、定期的な歯科検診を受けることを勧めた。

 さらに、健康や栄養の情報を提供しているシダックス総合研究所の品川喜代美課長が「あれもこれも食べてフレイル対策!」と題してバランスの良い食事法を指導した。「多様な食品を食べている人は、全身の筋肉量が多く、身体機能の衰えも少ないことが報告されています」として、10種類の食品群の頭文字をつないだ標語「さあにぎやか(に)いただく」を紹介。「さ」は魚(生鮮、加工品を問わずすべての魚介類)、「あ」は油(料理に使う油、パンに塗るバターなど)などがある。品川さんは「毎日、10種類のうち7つの食品群をとることを目標にしましょう」とアドバイスした。

バランスの良い食事をするための「合言葉」を紹介する品川さん

 

シンポジウムで予防のコツ話し合う

 後半のシンポジウム「人生100歳時代を元気で生き抜こう!」では、藤井信吾・取手市長、同協議会副理事長の久野譜也・筑波大教授が登壇し、北京五輪銀メダリストの朝原宣治さんがオンラインで参加。読売新聞東京本社の館林牧子専門委員がコーディネーターを務めた。

シンポジウムに登壇した(右から)藤井市長、久野教授、館林専門委員、スクリーン右上は朝原さん

■藤井・取手市長「地域の連帯を取り戻す『元年』にしたい」

藤井信吾・取手市長

 取手市の藤井市長は「コロナ禍による外出自粛は、高齢者の体の機能の低下にとどまらず、地域の助け合いの風土を過度に萎縮いしゅくさせてしまった」と振り返った。市はこれまで健康相談や体力測定などの「健康プログラム」を実施してきたが、コロナ禍では中止せざるを得なかった。しかし、利用者アンケートでは「続けてほしい」という声も多く、本格的な再開に向けた明るい兆しと感じている。「健康プログラムは健康づくりだけでなく、人とのつながりを保つ意味合いがある」と実感したという。フレイル予防の大きな柱である「社会参加」に関連して、「健康増進にとどまらず、市民がおしゃべりできる場をたくさん作っておくことが大事だ」と話し、「地域の社会的な連帯を取り戻していくため、今年は『再開元年』としたい」と目標を掲げた。

■朝原宣治さん「2人以上で一緒に運動して元気になろう」

 フレイル予防に欠かせない運動を続けるコツについて、朝原さんは、幅広い年代の人が競技に出場できるマスターズに、自身が参加し始めた体験を紹介。「会場は超元気な人たちであふれかえっています。周りが元気だと自分も元気になる、という連鎖をすごく感じました」と話し、「散歩でも山歩きでも、身近にいる元気な人と2人以上で運動して元気をもらいましょう。自分が元気なら誰かを誘ってその人を元気にしましょう」と勧めた。

■久野教授「皆で100歳目指すため、予防のコツを広めて」

久野譜也・筑波大教授

 筋力トレーニングの大切さを強調した久野教授は、「80歳を超えると『いろんなことができなくてもしょうがない』と皆さんも思っているし、そういう社会の雰囲気もある。筋トレをすれば、若いころにできたことを最後までやりきれます」と、97歳の女性が3か月の筋トレで小走りできるようになった動画を紹介した。また、「皆さんが100歳になったとき、周りに知り合いが誰もいないと寂しい。知り合いがいないと社会参加も難しくなる。周りの人と一緒に健康長寿を実現するため、今日学んだフレイル予防のコツを周囲に伝えてほしい」と呼び掛けた。

 久野教授や朝原さんらはコロナ禍で基礎体力や人とのつながりが低下することを「健康二次被害」と位置づけ、感染予防と同時に健康維持にも気を配る啓発活動を続けている。会ではその内容も報告された。 

 参加した取手市の神谷明さん(74・無職)は「周りの人を元気にすると、自分にも良い影響が起きるという内容がとても参考になった。フレイル予防のコツを知り合いに教えたい」と話していた。

 

フレイルを測ろう!自身の体力をチェック

 一方、セミナールームでは筋力や体のバランス、口の中の状態、注意力や記憶力など、フレイルに関する体の状態をチェックするコーナーが設置され、多くの来場者が機器を使ってフレイルの測定を体験した。

タニタの計測器で立ち上がり時のスピードやパワー、安定性を調べる人たち

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