文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track33】うつ病で休職した在日外国人、母の来日が回復への契機に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 新型コロナウイルスの世界的流行により、海外との往来が制限され、日本で働く外国人にとっても、なかなか帰省できず、ご家族の来日も難しい時期が続きました。コミュニケーション・ツールで連絡はできても、母国で暮らす両親や兄弟と会えず、触れ合えなければ、家族のぬくもりを実感できません。外国人労働者は、異文化に囲まれ、コミュニケーションの問題や仕事のストレスなどを克服しながら暮らしています。多様なストレスを緩和するためには、セルフケアだけではなく、自身を支えてくれる存在の力が、とても大きいのです。

製品デザインから管理業務へ

【Track33】うつ病で休職した在日外国人、母の来日が回復への契機に

 カナダ出身の男性レオさん(36)は、20代後半から関西の大学で工学デザインを学び、卒業後、電気機器製造会社に入社しました。10代の頃から、日本のアニメーションや映画を通じて、日本文化に傾倒してきたレオさんは、あこがれていた日本企業で自身の腕を振るう夢がかない、意気揚々と働き始めました。日本での生活は入社当時で5年目になっていて、社内のコミュニケーションにもほぼ問題はありませんでした。

 しかし、入社から間もなく、世界的な半導体不足が起こり、製品の販売業績が厳しい状況も重なったことで、全社的に製造コストを下げる方針が急がれました。製品デザインに携わるレオさんたちの部署でも人員と資金が削減され、デザインよりも製造過程でのコストダウンが優先される毎日には、働きがいを失う者が続出しました。

 レオさんが入社して2年目の春、社内の組織が改編されました。レオさんは、引き続き製品デザイン部門に残留したものの、何か新しい構想を具現化するような仕事はなくなり、彼が得意ではない製品の材質管理に携わることになりました。大学では物理化学も学びましたが、材質の物理的な性質(物性)は専門ではありません。レオさんは、学生の頃から、何かデザインがひらめくたびに描いてきたスケッチブックを眺めながら、「こんなはずじゃなかった」と意気消沈してきたそうです。

1 / 4

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

koyama-fumihiko_prof

小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 「リンゴの赤」 をリリースした。

ココロブルーに効く話 小山文彦の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事