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女優の仁科亜季子さん 4度のがんを経験して…「私は、とても幸せながん患者」

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[女優 仁科亜季子さん]多重がん 4度目に大腸がんになった時は初めて「ダメかな」と弱気に…私を支えた五つの「気」

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 女優の仁科亜季子さん(69)は約30年間に4度のがんを乗り越えてきました。複数の臓器・器官にがんができる「多重がん」のがんサバイバーですが、4度もがん経験をするのは珍しいことです。これまでの闘病生活を振り返ってもらいました(聞き手・坂上博)

落ち込んだのは2時間だけ

[女優 仁科亜季子さん]多重がん 4度目に大腸がんで告知を受けた時は初めて「ダメかなと弱気」になった…私を支えた五つの「気」

仁科亜季子さん(2021年10月26日撮影)

――最初にがんと診断されたのは、38歳でしたね。

 婦人科検診をしばらく受けていなかったので、久しぶりに、何げなく検査を受けたところ、子宮 (けい) がんと診断されました。ショックというよりは、「なんで私なんだろう」と思いました。

 告知を受けて2時間ほど落ち込みましたが、すぐに気持ちを切り替えました。立ち直りは早い方です(笑)。がんになっちゃったんだからしょうがない。なったことをくよくよ考えても治るもんじゃないし。2人の子どもはまだ小さかったので、「子どもたちを残して逝けないぞ。何とかしなきゃ」と思いました。気持ちの切り替えが早いというよりも、「楽天的」なんでしょうね。

――ご自身、どのような性格だと思いますか。

 1950~60年代に放映されたNHKの人形劇「チロリン村とくるみの木」の登場人物に、「クルミのがんこじいさん」がいるのですが、母親からは小さい時から「あなたは、がんこちゃんね」と言われ続けてきました。登場人物は男性なのにね。確かに、一度決めたことは曲げない子どもでした。あと、先ほどお話ししました「楽天的な性格」も元来のものですね。

 人生は究極的に言えば、二者択一じゃないですか。がん治療もそう。今の病院で治療を受けるのか、受けないのか。手術を受けるか、受けないのか……。

 自分が選んだ道は、間違っていなかったと思います。というか、その道を選んだのは自分なんだから、後になって後悔しても仕方がないじゃないですか。

 子宮頸がんのときは、抗がん剤治療、子宮と卵巣の摘出手術、放射線治療を受けました。輸血からC型肝炎にもかかり、苦労しましたが、今は落ち着いています。

4度目の時は「いいかげんにしてよ、神様」

――その後も、3度のがん告知を受けました。

 46歳の時、GIST(消化管間質腫瘍)というまれながんが胃にできました。55歳の時に腸 (へい)(そく) を何度も繰り返し、腹部の検査で小腸と盲腸にがんが見つかりました。62歳の時には大腸がんと診断されました。4度目のがん告知です。いずれも開腹手術などを受けました。治療の後遺症で、リンパ浮腫で足がむくんだり、血糖値が急に下がってフラフラになったりすることがありますが、今は充実した日々を過ごしています。

――4度のがんは、それぞれ転移ではないそうですね。これほどの「多重がん」は珍しいのではないでしょうか。

 4度目の時は、さすがに私も「いいかげんにしてよ、神様」と思い、「今回はダメかな」と弱気になりました。子どもたちに向けて、遺言状とまではいかないのですが、思いをつづり、病室の引き出しに入れておきました。手術後、集中治療室に入り、その翌日には病室に戻ったので、すぐに破り捨てましたけど(笑)。弱気になったのは、この時だけですね。

 振り返ると、信頼できる複数のドクターに巡りあうことができました。神様は私に様々な試練を与えてくれたのですが、「あまりにもかわいそうなので、ちょっと良いドクターを紹介しておこうか」とでも思ってくれたのではないでしょうか(笑)。

 子宮頸がんは、たまたま、元旦那の同級生がお医者さんで、その方に紹介された京都大学病院で治療を受けました。子宮頸がん治療の実績が豊富な病院でした。担当の男性医師は武骨で男っぽい先生で、「僕も命がけで闘うけど、君も命がけでがんと闘ってね」と熱く語ってくれました。患者を奮い立たせるような言葉遣いが印象的でした。

 ほかのがんの時にも良いドクターに治療していただきました。神様は意地悪なのか、それとも親切なのか、分からないのですが(笑)、とてもすてきなお医者さんを紹介していただきました。私は、とても幸せながん患者です。

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