産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
「私たちは仮面夫婦」妻がそんな思いを口にしたら…会話減少は夫婦のイエローカード
「先生、男の離婚って、一人ぼっちになることなんですね」と、50歳の鈴木太郎さん(仮名)はポツリと言って黙り込みました。彼は私が精神科産業医を務めるメーカーの営業本部長。部下60人を率いています。これまで仕事一筋。家庭を顧みず、妻が出す「離婚サイン」に気づきませんでした。昨年9月に離婚。大学生の長男と高校生の長女は妻と共に。社内で実施されるストレスチェック検査で高ストレスと判定されて、相談室を訪れました。離婚を回避することはできなかったのでしょうか。
会社では必要とされ、帰宅後は“ぼっち生活”
職場では重要な役割を担い、昼間は仕事で動き回っています。ところが、自宅に待つ人はいません。明かりをつけることから始まる「ぼっち生活」。悔やんでいます。
以下、私と彼とのカウンセリングでのやり取りです。
産業医 : 離婚したんですね?
鈴木さん: 妻から、突然切り出され、あれよ、あれよという間でしたね。
産業医 : あなたへの不満や希望を暗示するサインはありませんでしたか?
鈴木さん: あったんだろうなぁ。
産業医 : 気づかなかった?
鈴木さん: (考え込む)そうですね。
産業医 : なぜ、気づかなかったのでしょうか?
鈴木さん: 仕事が忙しかったから。
産業医 : でも、家に帰れば、夫や父親ですよね。
鈴木さん: 休日も接待などがありましたね。
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