知りたい!
医療・健康・介護のニュース・解説
高齢者対象のデイサービスで料理教室、学校の授業…工夫を凝らし、通う目的探しやすく
住み慣れた自宅での日常生活を支えるデイサービス(通所介護)。ただ、活動内容に不満があり、通う目的を見いだせない人もいるという。「通いたくなる場所」を目指して、魅力や特色づくりに取り組むデイサービスを訪ねた。(阿部明霞)
魚をたたいてミンチにしたり、ショウガをみじん切りにしたり――。会話をしながら料理を楽しむ利用者の姿を見ると、まるで料理教室のようだ。
東京都目黒区のデイサービス「なないろクッキングスタジオ自由が丘」では、2015年の開設当初から、「料理」をメインの活動にしている。その日のメニューや食材について学び、軽い体操で体をほぐした後、料理を始める。調理台は立ったままでも、車いすや椅子を利用したままでも、作業しやすい高さにしつらえてある。
この日のメニューはサワラのハンバーグ、牛肉とレンコンのきんぴら、きのこと小松菜のみそ汁など5品。ハンバーグを担当した小川友英さん(90)は、「おしゃべり半分、作るの半分といった感じでみなさんと調理するのが楽しい」と話す。同居する娘の上田ときわさん(60)は「昔から母は料理が大好き。やりたいことに取り組んで、できることをさらに引き上げてもらっている」と感じている。
車いすを使っていたり、体に不自由があったりしても、一人ひとりに合わせて作業を割り振っているので、認知症の人や料理初心者も安心だ。脊髄 梗塞 で両足にマヒがあり、普段は車いす生活だという小杉俊夫さん(75)は、調理中はつえを使って立っているため、リハビリにもなっているようだ。「体が許す範囲で通い続けたい」と意気込む。
「目的を持って楽しく通ってもらうには、何が必要か」。運営する「ユニマット リタイアメント・コミュニティ」(東京都)によると、料理を取り入れた背景には、こうした問題意識があった。体操やレクといったよくある活動ではなく、自分が通ったり、親を通わせたりしたくなるようなサービスを考えた結果、料理にたどりついたという。
ホテルのレストランでの調理経験者が講師役を務め、本格的な和洋中やスイーツ、パンと幅広いメニューにチャレンジできる。食材費などを負担すれば、通常の介護保険のサービスとして利用可能だ。同社の神永美佐子事業統括本部長は「孫にスイーツを作りたいと積極性が出てくる人もいる。高齢者のやる気を引き出すことにつながっている」と効果を語っている。
1 / 2
【関連記事】