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医療・健康・介護のコラム

不妊の原因は俺だった? 男性不妊を告げられた夫が取った行動とは

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 サービス業に勤めるHさんが結婚したのは32歳の時。相手は高校の同窓会で再会した同級生でした。結婚当初は2人とも仕事が忙しく、休みの予定が合わないこともあり、子どもどころか、夫婦生活もままならない感じだったといいます。3年ほどたち、Hさんは周囲の友人がどんどん妊娠・出産していく姿を見て焦りが募り、思い切って転職をしました。

自分でタイミングをとったが妊娠できず 婦人科で人工授精にチャレンジ

 35歳になってやっと夫婦で足並みをそろえての妊活が始まりました。最初は薬局で排卵検査薬を購入して排卵日を特定し、自己流でタイミングをとっていましたが、半年たっても一向に妊娠の気配はありません。もともと生理不順がひどく、28日ぴったりでくることはありませんでした。長い時には40日ほどの周期になったこともあったといい、Hさんは「排卵検査薬を何日も使って、きっとこの日だろうと排卵日を特定していたのにぜんぜん妊娠できなくて、毎月がっかりすることの連続でした」と振り返ります。

 そこで、あまり気は進まないながらも近所の婦人科に行きました。Hさんの排卵日を特定して、その日に夫婦生活を持つという「タイミング法」をすることになったのです。そのためには何日か病院に行く必要があります。Hさんはフレックスタイムを利用して、月に何度か病院通いをする日々となりました。

 病院に通いながらタイミングをとってみても、Hさんはなかなか妊娠しませんでした。半年後、医師から「人工授精をしてみませんか」と言われました。Hさん夫婦は、不妊治療にはあまり前向きではありませんでしたが、「このままでは妊娠できないかもしれない」という不安の方が強く、話し合いをした結果、人工授精をすることになりました。

数がとても少なく、運動率も低い精子 人工授精しても妊娠の確率はかなり低く

 人工授精の日、採取した夫の精子を病院に出して待合室で待っていると、看護師から「先生からお話があるそうです」と呼ばれました。そこで医師から告げられたのは「ご主人の精子がとても少なく、このままでは人工授精をしても、妊娠できないかもしれません」ということでした。夫の精子は「数がとても少ない上、運動率も低い」というのです。

 Hさんはがくぜんとして「え……、じゃあ、人工授精しても妊娠できないということですか?」と尋ねると、医師は「絶対ではないが、かなり確率は低いと思います。いわゆる男性不妊ですね。おそらく本来なら顕微授精の適応になるかと思います」とのこと。もともと人工授精は妊娠・出産の確率はさほど高くなく、十数%しかないと言われています。それがさらに低くなるなんて……。Hさんはショックを隠せませんでした。

 「どうしますか? 一応やってみますか?」と言われ、Hさんは医師のその言葉にさらにショックを受けながらも、「はい」とこたえ、初めての人工授精をしたのです。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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