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Dr.夏秋の毒虫クリニック

医療・健康・介護のコラム

全国に異名いろいろのクサい虫…人の家でちゃっかり越冬、お返しは皮膚炎起こす分泌液

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国内800種類もいる嫌われ者

全国に異名いろいろのクサい虫…人の家でちゃっかり越冬、お返しは皮膚炎起こす分泌液

アカスジキンカメムシ。最も美しいカメムシの一種。本州から九州の山地に生息する

 ヘコキムシ、ヘッピリムシ、クサムシ……これ全部、ある生き物の俗称です。地域ごとにも様々な呼び名があり、北陸地方ではヘクサンボ、福島の辺りではヘクソムシと、あちこちでさんざんな言われようの嫌われ者。そう、カメムシです。

 カメムシ類はカメムシ目に属する昆虫で、陸に生息する種類だけでも日本で800種類以上が知られています。果実や豆類、植物の茎などから汁を吸う草食性の種類が多いのですが、他の昆虫類を捕まえて体液を吸う肉食性の種類もいます。触れるとイヤな臭いを出すのは、皆さんご存じの通りです。

鼻だけじゃない 皮膚にも被害

 そんなカメムシですが、姿は美しい種類も多く、昆虫愛好家の間では高い人気を誇ります。中でも、金属のように輝く緑色のボディーに赤い模様のアカスジキンカメムシは、「華麗」の一言。オオキンカメムシは、オレンジと黒のコントラストが鮮烈で、目を奪われます。

全国に異名いろいろのクサい虫…人の家でちゃっかり越冬、お返しは皮膚炎起こす分泌液

オオキンカメムシ。西日本に生息する南方系のカメムシ。海岸付近で集団越冬する

 カメムシの害というと、農作物への被害がよく問題になります。カメムシの発生は、多い年(表年)と少ない年(裏年)があって、交互にやってくるといわれています。今年は「表年」で、多くの都道府県で大量発生の注意報が発令されたそうですが、兵庫県内の我が家の周辺では、むしろ例年より少ない印象です。

 人体への被害は臭いだけと思われるかもしれませんが、その悪臭成分が皮膚炎を引き起こすのです。さらに、皮膚を刺すカメムシもいます。今回はカメムシによる皮膚トラブルについて紹介します。

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夏秋 優(なつあき まさる)

 兵庫医科大学皮膚科学教授。1959年生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員、兵庫医科大学皮膚科学講師、助教授などを経て2021年より現職。日本衛生動物学会会長。主な専門分野は虫による皮膚疾患、皮膚疾患の漢方治療。主な著書に「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」(学研メディカル秀潤社)、「止々呂美哀歌」(NRC出版)、「医ダニ学図鑑」(共著、北隆館)、「衛生動物の事典」(共編著、朝倉書店)」など。

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