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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track31】「私、失敗しないので!」は逆効果に――採血のときに手が震える看護師の成長――

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 新型コロナに限らず、インフルエンザや感冒が流行する寒い季節になりました。ワクチン接種を受ける人も例年より多くなりそうです。私も、医師として、患者さんに注射を施す機会がありますが、逆に予防接種や健診などで採血を受ける場面もあります。そんな時、注射針を刺す医師や看護師に対しては全幅の信頼を置いています。その道のプロが、血管から注射針を外したり、手を震わせたりなどは、ほとんど想像もせず身を任せます。しかし、注射器を握る専門職であっても、その時のコンディションに好不調はあるものです。

 今回は、ある若手看護師の苦心と成長のエピソードです。

初めての試練に直面して

【Track31】「私、失敗しないので!」は逆効果に――採血のときに手が震える看護師の成長――

 アオイさん(22)が、ある総合病院に看護師として入職して1年になります。内科病棟に配属され、忙しい毎日でしたが、職場の人間関係にも恵まれ、順調に勤務していました。採血などの手技にも慣れ、仕事のストレスを感じることはほとんどありませんでした。

 ある深夜勤務の翌朝、数名の患者さんの採血が待っていました。前夜には急患の入院が続き、仮眠もとれなかったアオイさんでしたが、先輩看護師のチヒロさん(30)と共に順々に採血を施していきました。最後に待つのは病棟の一番端の病室に入院中の患者マリコさん(54)でした。アオイさんが、マリコさんと接するのはこの時が初めてでした。廊下を歩きながら、アオイさんは軽く疲労を覚えつつ、隣のチヒロさんに話しかけました。

 「さすがに眠いし、おなかもすきましたよねえ」

 「キツかったけど、アオイちゃん、よく頑張ったね。でも、次が問題かな……」

 チヒロさんによると、次の患者マリコさんは、前腕や肘の血管がわかりにくく、採血が難しいとのことでした。アオイさんは少し動揺しましたが、この日の業務の最後でもあり、気を引き締めて病室へ向かいました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 「リンゴの赤」 をリリースした。

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