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「松葉づえ使って、保育園へ送り迎え」…難病がありながら子育てする苦労 情報共有、情報発信する取り組み広がる
視覚障害「外遊び」見守りが悩み…「地域で支援の輪」目指す
視覚障害のある親やその家族でつくる「かるがもの会」でも、子育てに悩みを抱える当事者が、情報交換をしながら支え合っている。30年以上の歴史がある同会で、代表を務める東京都日野市の菊地美由紀さん(38)は、同じく全盲の夫とともに4歳の長女の子育て中だ。
目の見えない親たちが今、悩みとして多く訴えているのが、公園などでの「外遊び」だ。子どもの危険を察知しにくくなるほか、一緒に走って遊んであげることも難しい。遊び盛りの子どもを育てる東京都世田谷区の50歳代の会員女性は、「親の視覚障害が理由で、子どもが挑戦したいことを体験させられず、可能性を狭めてしまうのはつらい」と語る。
会員の中には、子どもが滑り台の階段から落ちて骨折したのに、すぐに気づけずにいた事例もあったという。菊地さんは子どもの服に鈴を付け、居場所を音で確認しているが、何をしているか把握しにくく、不安がつきまとう。
視覚障害者が子どもと外遊びをする際の見守りで、公的支援を求めることもできる。しかし障害者総合支援法の支援対象となるかどうかは、障害の程度や生活状況などから各市区町村が判断するうえ、利用には予約などの手続きが必要だ。外遊びに付き添ってくれる人を自力で探すのも負担が大きいという。
菊地さんは「『見る』部分を気軽に頼める関係のボランティアなどが身近にいて、マッチングまでしてくれる仕組みがあるとありがたい」と話す。まずは、当事者の子育ての現状や課題を地域社会へと発信し、支援の輪を広げていきたいと考えている。
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