ウェルネスとーく
医療・健康・介護のコラム
[歌手 井上あずみさん](上)アイドルデビューしたが全く売れず、「となりのトトロ」の後も時給650円のアルバイト…歌手一本になるまで苦労
「となりのトトロ」の主題歌や「天空の城ラピュタ」のエンディング曲でおなじみの歌手、井上あずみさん。ジブリ映画の人気で今や国内だけではなく、ヨーロッパやアジア各国のイベントにもお呼びがかかる人気者ですが、キャリアの始めは順調とは言えなかったようです。アイドル歌手としてデビューしても全く売れず、トトロの後も数年間は時給650円で書店や事務のアルバイト。そんな井上さんの芸能活動やスタジオジブリとの出会いについて聞きました。(聞き手・渡辺勝敏、写真・中山博敬)
日本テレビ系「スター誕生!」にも出て、1983年にアイドルデビュー
――新型コロナウイルス感染もおちついてきて、コンサート活動も始まっているようですね。
新型コロナでは、活動の中心にしているコンサートができなかったのですが、ようやく合唱団と一緒に歌うようなイベントにも参加できるようになって、本当に良かったです。来年は歌手生活40周年なので、その準備も始めています。もちろんジブリ映画の歌が多いですが、本の読み聞かせも織り交ぜて、子どもから大人までだれでも楽しめるコンサートにしたいなあって思っています。
――ファミリーコンサートとして年齢を問わずに楽しめる活動を中心にしていますが、もともとはアイドルとしてデビューしたそうですね。
小さいころから歌が好きで、特に岩崎宏美さんが大好き。金沢市に住んでいて、地元ののど自慢などに出ていたら、審査員長で地元にお住まいの作曲家、乙田修三先生という方がスカウトしてくれて、小学校5年生の時から先生の歌謡研究所に通っていました。岩崎宏美さんもデビューのきっかけになった日本テレビ系「スター誕生!」というオーディション番組があって、中学1年生の時には私も出ることができました。最後に芸能事務所やレコード会社の方が採用するかどうかプラカードを上げるのですが、私にはだれも上げてくれなくて……。泣いて、泣いて、歌手を諦めようかと思いました。
デビューしても全然売れず、喫茶店のバイトも
――それでも1983年にアイドル井上杏美としてデビューすることができましたね。
乙田先生のお付き合いの関係で、声をかけていただきました。高校を卒業して間もなく、シングル「スターストーム」とLPレコードの同時発売という形でした。高校の卒業試験と重なる時期に東京で1か月のレコーディング。もし、デビューできなかったら、地元の短大に進んで幼稚園で働こうと思っていました。デビューはできましたが、全然売れなくて。
1 / 5
【関連記事】