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伊藤清世の「あれ?コレ 介護食 plus」

[ きょうの健康レシピ ]

健康・ダイエット・エクササイズ

口の機能が衰え、牛丼を食べられなくなった高齢者…それでも食べるにはどうする?

レトルト牛丼のもとで作る雑炊

 こんにちは、在宅訪問管理栄養士の伊藤清世です。

 今回も「レトルト牛丼の具」を使用したレシピのご紹介です。

 皆さんは「オーラルフレイル」という言葉をご存じでしょうか。かんだり、のみ込んだりする口の機能が低下しつつある状態のことを指します。入れ歯の不調などで、かむ力が衰え、硬いものが食べにくくなると、軟らかいものばかり食べるようになり、かむために必要な口の筋力が低下し、さらにかむ力が衰えるといった悪循環に陥りやすくなります。

 口の機能の衰えは、食欲の低下、低栄養、さらにはサルコペニア(加齢による筋肉の減少)など、全身機能の低下を招き、要介護状態へとつながる可能性があります。

 私が関わる高齢の方にも、こんなことがありました。

 「いつもはご飯の上にレトルト牛丼をかけて食べているけれど、入れ歯の調子が悪くなったのでうまく食べられなくなった。つゆだくにしても食べにくい」という相談でした。その時におすすめしたのがこのレシピでした。

 幸い、この方はすぐに入れ歯の調整がうまくいったため、食べられない期間はそれほどなく、いつも通りに食べられるようになりました。しかし、この期間に入れ歯の調整がうまくいかなければ、食べる量が減ったり、食べ物が偏ったりすることで体調に変化があったかもしれません。

 かむ力は口の中の運動です。運動するためにはエネルギーが必要です。つまり、かむ力を維持するためには「しっかりかむ」という運動習慣をつけるだけでなく、かむための栄養を取る必要もありますね。

 今回のレシピではレトルト牛丼に卵を加えることで、たんぱく質がプラスされています。さらにエネルギーアップしたいときにはゴマ油を加えたり、すりゴマを加えたりするという方法もあります。

[作り方]

レトルト牛丼のもとで作る雑炊

(1) 小鍋にご飯と水を入れて弱火にかける。

(2) ご飯がお (かゆ) のように軟らかくなったら、レトルト牛丼の具を加えて、弱火で3~5分煮る。

(3) 味がなじんだら、割りほぐした卵を加えてさっくりと混ぜ、卵がお好みの硬さになったら火を止める。

(4) 器に盛り付けてできあがり。あれば青ノリなどをトッピングする。

※かむ力、のみ込む力には個人差があります。食べる機能を確認しましょう。

(レシピ作成 在宅訪問管理栄養士 伊藤清世)

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伊藤清世(いとう きよ)

在宅訪問管理栄養士・介護食アドバイザー
委託給食会社で病院・高齢者施設・保育所等の調理業務、総合病院の管理栄養士を経て、現在は仙台市の「ないとうクリニック複合サービスセンター」で在宅訪問管理栄養士として活動中。また、地域での講演活動を通じ、かむ、のみ込む力が低下した方にも喜ばれる、食べやすくおいしい食事作りを提案している。

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