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アクティブライフフェスタ

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1400人が健康のヒント学ぶ~人生100歳時代のアクティブライフフェスタ

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 毎日を生き生きと過ごしたいシニア世代を応援する「人生100歳時代のアクティブライフフェスタ2022」(読売新聞東京本社主催、太陽生命保険、大王製紙協賛)が9月30日、東京都千代田区のよみうり大手町ホールで開かれた。オンラインでも同時配信されたほか、大阪市内の会場では初のライブビューイングも行われ、前回を300人上回る計約1400人が参加した。医師で作家の鎌田實さんと「きくち体操」創始者の菊池和子さんが、昨年に引き続いて登場。会場では、来場者が菊池さんと一緒に体操したり、鎌田さんのトークに笑いが起きたりと、大いに盛り上がった。

鎌田實さんの体験を踏まえた講演など盛りだくさんの内容となった「アクティブライフフェスタ2022」(9月30日、東京都千代田区のよみうり大手町ホールで)

認知症の一歩手前、MCIのリスクを知ろう

認知症対策のポイントなどを解説する太陽生命保険の満永悟さん

 フェスタの第1部では、まず、「認知症に対する当社の取り組み」と題して、太陽生命保険営業企画部部長の満永悟さんが講演した。

 満永さんは、認知症対策のポイントとして、①リスクの早期発見②早期予防の取り組み③早期治療・ケアの三つを挙げた。

 このうち、「①リスクの早期発見」では、認知症になる一歩手前のMCI(軽度認知障害)について、「物忘れが主たる症状で、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態」と説明。「年間で10~15%が認知症に移行するため、この段階でいかに手を打つかが大切です」と強調した。

 ただ、MCI自体の認知度はまだ低いのが現実で、「介護経験のない人の85%が知らない」という太陽生命少子高齢社会研究所のアンケート調査結果に触れつつ、「まずはMCIという言葉を覚えてください」と呼び掛けた。その上で、「この段階で予防に取り組めば、発症を防げる可能性が高くなります」として、簡単な血液検査で、自覚症状がなくてもMCIのリスクを判定できる「MCIスクリーニング検査プラス」の受診を提案した。

 「②早期予防の取り組み」では、歩数や睡眠時間に応じて健康づくりのアドバイスを受け取ることができ、脳トレーニングになるクイズやパズルが楽しめる「健康増進アプリ」や、野山をゆっくり歩く運動療法「クアオルト健康ウオーキング」の体験ツアーなどの同社のサービスを紹介。「③早期治療・ケア」では、認知症の診断・治療ができる医療機関や地域包括支援センターを案内するサポートも行っていることを説明した。

菊池和子さん「自分の体の動きを脳で感じることが大切」

「体の動きを脳で意識しましょう」と話す菊池和子さん

 88歳の現在も、エネルギッシュに指導を続ける菊池さんが「負けない体は自分でつくる!」をテーマに、来場者と一緒に、手足の指を広げたり、伸ばしたりする体操を行った。

 菊池さんは「今、体のどの部位を使っているかをきちんと脳で感じながら行うのが『きくち体操』です」と紹介。手の指を広げたり、人さし指から小指までを順番に親指の付け根に近づけたりする体操の動きを説明しながら、ステージ上をあちこちと動き回り、「脳で意識しながら指を動かしましょう」「指に力がつくと腕にも力がつく。腕、腹筋、背筋と、筋肉を育てていくことができるようになります」と、人々に声を掛けた。

 ウォーキングにもコツがあると言い、「距離や歩数を自慢して歩き過ぎるのはダメ。やり過ぎると腰や膝を痛めてしまう。『これぐらい歩いたら調子が良くなってきた。今日の運動はもう十分だ』ということを脳で感じ取れるか、が最も大切です」とアドバイスした。会場では、来場者も菊池さんのかけ声に合わせて手足の指を動かしたり、背伸びや足首を回したりする体操に取り組んだ。また、菊池さんの言葉にうなずきながらメモを取る姿も見られた。菊池さんは、最後に「私たちの筋肉は全部つながって助け合っています。脳を使って、意識して動かすことを日課にしてください」とみんなを励ましていた。

鎌田實さん「運動とたんぱく質の十分な摂取を心がけよう」

たんぱく質を上手に摂取する方法などをアドバイスする鎌田實さん

 鎌田さんは「90歳の壁をピンピンひらりと越える方法~鎌田式ウォーキング・ストレッチ・自律神経の整え方」と題して講演。「ひらりと越えるためには筋肉を保つための運動と、筋肉を作るたんぱく質の十分な摂取が大切」と力説した。

 運動については「コロナ禍で、みんな筋肉が萎縮いしゅくして、フレイル(虚弱)が起きているというのが今の現実。最後は筋肉が大事です」と話し、通常のスクワットよりも足の幅を大きく広げる「ワイドスクワット」や、脚を前後に開いた状態で上下に体重移動する「ランジ」などを提案。「スクワットを1日10回、できれば2セットやれば、太ももの筋肉から、がんや認知症のリスクを減らすというホルモン『マイオカイン』が出てきます」と、単なる筋トレにとどまらない効果があることを紹介した。

 また、「筋肉のもととなるたんぱく質が、特に高齢者には足りていない」と指摘。「筋肉をためる『貯筋』のためには体重×1.2倍、体重が70キロの人は84グラムのたんぱく質が1日に必要です」と説明した。簡単なやり方として、魚や鶏肉などの肉類100グラムにたんぱく質が20グラムあると考える換算方法を紹介。「肉や魚を1日3回食べて60グラムを摂取し、残りの24グラムを高野豆腐、納豆、プロテイン入りヨーグルトなどで摂取する。プロテインもお勧めです」と具体的な取り組み方を解説した。

 心身の機能が整うためには、自律神経が重要で、活動時に働く「交感神経」と、リラックスする時に働く「副交感神経」のバランスが大切とされる。鎌田さんは昨年、不整脈の一つ、心房細動が起こって治療を受けたことから、自律神経のバランスを整えることを意識するようになったという。そのために実行しているのが腹式呼吸。「おなかを膨らませながら肺を上下に動かすと、横隔膜の周りに密集している副交感神経が刺激される。それによって血管が広がって血圧が下がり、不整脈が起きなくなった」と、自ら実践してきた効果を語った。

 鎌田さんは腹式呼吸を取り入れた「スーパー速遅歩き」を考案。「大股歩き」と「(競歩のような)ピッチ歩行」で速く歩き、その後、腹式呼吸をしながら「遅歩き」をすることを繰り返すウォーキングで、「歩数よりも歩く質が大切。15分続けてみましょう」と呼び掛けた。最後に「年を取ってくると、一つや二つ必ず病気が重なってくる。それでも負けないで筋肉を動かすことが心も脳も元気にする。前向きに健康づくりをしよう」と締めくくった。

クラシック曲演奏、認知症保険などのブース展示も

弦楽四重奏でクラシック曲などを演奏した読売日本交響楽団のメンバー

 会場では菊池さんと鎌田さんの講演を挟んで、読売日本交響楽団メンバーによる弦楽四重奏の「ミニ演奏会」も開かれた。クライスラーの「愛の喜び」、バッハの「G線上のアリア」といったクラシック曲や美空ひばりの「川の流れのように」が演奏され、参加者の皆さんはゆったりとした気持ちで名曲の調べに耳を傾けていた。

 講演会場横のロビーでは、協賛各社が商品などのPR展示を行った。太陽生命保険のブースでは、「ひまわり認知症予防保険」の内容やサービスを問い合わせる人も多く、同社員がパンフレットやビデオを使って丁寧に説明していた。

太陽生命保険のブース

 大王製紙は、大人用おむつの展示を行った。

大王製紙のブース

 また、読売新聞オンラインのID登録相談コーナーも設けられ、担当者が登録方法の説明を行っていた。

読売新聞オンラインのID登録相談コーナー

大阪・ライブビューイング会場も盛り上がる

 JR大阪駅前のオフィスビル内に設けられたライブビューイング会場では、東京会場の様子が生中継され、約60人が視聴した。スクリーンに映された菊池さんの体操実演に合わせて、インストラクターが体の動かし方を丁寧に解説したほか、鎌田さんのトークに何度も笑いが起こるなど、東京と変わらない盛況ぶりだった。

インストラクターから「きくち体操」の指導を受ける参加者(大阪会場で)

※写真は橘薫(東京)、今井文能(大阪)撮影

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