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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

【追悼】アントニオ猪木 自分を演出し続けた受け身の達人…プロレス人気を最高潮にした男

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【追悼】アントニオ猪木、自分を演出し続けた受け身の達人…プロレス人気を最高潮にした男

 「燃える闘魂」アントニオ猪木さんが亡くなりました。この世にいないことが信じられません。今も耳の奥で、「元気ですかー!」の声が聞こえてきます。そして、あの人懐っこい笑顔が脳裏から離れません。

 思えば、じつに猪木さんらしい死に方だったと思います。死期を間近にした痩せ衰えた姿など見せたくないという人間が多いなか、彼はすべてをさらけ出し、SNSで闘病の様子を私たちに見せ続けました。8月下旬には、車椅子姿で日本テレビの「24時間テレビ」に出演した姿をご覧になった方も多いことでしょう。車椅子にさえ乗れないくらいの状態だったことを思うと、その精神力の強さ、サービス精神に頭が下がります。

 おそらく、彼はだいぶ前から、もう長くないことを悟っていたと思います。それでも、それをおくびにも出しませんでした。

死の前まで腰の痛みに苦しんだ

 私がリングドクターになったのは1981年。猪木さんとはそれ以前にお会いしていますから、かれこれ半世紀にわたるお付き合いです。9月の半ばに「腰の痛さに耐えられません。専門の先生を連れてきてくれませんか」と突然、連絡があって、専門医とともに訪ねたのが、最後の別れになりました。ベッドのリクライニングを上げ、つらそうな表情は少しも見せず、「いや、よく来てくれました」と例の笑顔をつくるのです。もう、痛みを和らげるほか手の施しようはありませんでした。

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。前新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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