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【特別編】橋爪遼氏 覚醒剤で「終わった自分」だが

シリーズ「依存症ニッポン」

[俳優・橋爪遼さん](下)覚醒剤使用で逮捕され、「自分の存在はなくなった」…父・功さんには「演じ続けてほしい」

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 覚醒剤取締法違反容疑で2017年6月に逮捕された俳優の橋爪遼さん(35)は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受け、猶予期間が満了しています。逮捕時の状況や、後悔の念、そして父・功さんを含め、家族に対する思いを、吐露してくれました。(聞き手・染谷一、撮影・中山博敬)

自分を殺してでも

[俳優・橋爪遼さん](下)覚醒剤使用で逮捕され、「自分の存在はなくなった」…父・功さんには「演じ続けてほしい」

――どんな状況で捕まったのですか? 当初の逮捕容疑は「覚醒剤所持」でしたが。

 当局にマークされていた人と一緒にいたときに捕まりました。僕自身はターゲットではなかったようですが、その場にいたために一緒に連行され、尿検査で陽性が出たために逮捕になりました。最初は「所持」で捕まったのですが、押収された薬が僕のものだったのではなかったことがわかったことで不起訴になり、起訴は「覚醒剤使用の容疑」でした。

――それで、「自分は終わった」と。

 はい、終わったと考えたと同時に、「やっぱりこうなるんだ(処罰されるんだ)」と改めて実感させられました。

――俳優としての立場に加えて、お父上(橋爪功さん)の存在があったことで、大きく報道されたり、騒ぎに拍車がかかったりしました。

 自分はそこまで名前のある俳優ではありません。あれほど大きく報道されたのは、俳優・橋爪功の子どもだったからだと思います。しかも、当時、何人かの2世タレントが、薬物などで逮捕される事件が続いていた時期でしたから。

――大物女優や物まねタレントの2世らが、当時、相次いで逮捕されましたね。でも、親が有名人だからといって、引っ張り出して、謝罪をさせるのはおかしい。同業としての自戒を込めて言いますが、それはマスコミの悪いところだと思います。とはいえ、やはり、身から出たサビでもある。

 まあ、自分自身のすべてが終わったと感じました。僕には、ほかに才能があるわけではないし、ほかにやりたいこともなかったので、俳優しかないと考えてきましたし。つまり、(大きな罪を犯したことで)自分の存在がなくなったと思いました。

――後悔だったのか、自己嫌悪だったのか。それとも「不運を嘆いた」のか?

 何も考えられなかったです。とにかく、自分を「殺す」ことしか考えませんでした。

――自分を殺す?

 自分が終わったのは、自分の責任です。ただ、「父を含め、家族や周囲にかけた迷惑をなんとか最小限にしなければ」とばかり考えていました。

――自分の存在は殺しても構わないけれど、周囲への火をいかに広がらないようにするか、ということ?

 そうです。執行猶予判決が出た後、「更生施設に行く」「病院に入る」「自宅に戻る」の選択肢がありましたが、僕は施設を選びました。自宅に戻れば、また報道が再燃して、家族に迷惑をかける。だから施設に入ることしか考えられませんでしたし、プログラムがすべて終わるまで、母親以外の家族とは会いませんでした。

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染谷 一(そめや・はじめ)

読売新聞東京本社メディア局記者
 1988年読売新聞社入社、出版局、医療情報部、文化部、調査研究本部主任研究員、メディア局専門委員などを経て、2021年5月からメディア局メディア編集部記者。

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6件 のコメント

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ご本人の言葉で、誠実にインタビューに答えておられ、心に響いた。依存症は、行動と結果だけをみると、自分勝手で周りを考えていないように見える。でも実際は、橋爪さんもおっしゃっているように、周りに迷惑をかけたくなくて、そのためなら自分もいなくなっていいと思ってしまうような、自分よりも周りを考えてしまう人が多いのではないかと感じる。橋爪さんが、ご自分のやりたいことをできるように回復し続けてほしいと思う。失敗から自分を見つめ直して、やりたい道を選べるようになっていく姿を見せてくれることで、励まされる人がいる。応援しています。

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