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Dr.夏秋の毒虫クリニック

医療・健康・介護のコラム

ケムシに触れて電気ショック!? トゲの痛み&毛のかゆみ 毒のダブル攻撃

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イラガの終齢幼虫

 おいしいものが目白押しのこの季節、カキも旬を迎えます。民家の庭先のカキノキで実が赤く色づくさまは、まさに日本の原風景ですが、そこにも凶悪な毒虫が潜んでいるのをご存じでしょうか。

 カキノキによく発生するイラガの幼虫は、鋭いトゲを持っていて、皮膚に触れるとまるで電気が走ったような激しい痛みを引き起こす、大変やっかいな毛虫です。鬼の金棒のようなトゲだらけの形をしており、「イライラムシ」とも呼ばれています。「イラ」を漢字で書くと「苛」で、「トゲ」や「ひりひりする」といった意味があります。

 イラガの仲間には、ヒロヘリアオイラガ、ヒメクロイラガなども知られています。いずれも幼虫には鋭いトゲがあり、皮膚が触れると瞬間的にピリピリと電気が走ったような痛みを生じます。ただし、その痛みの程度は種類によって多少異なるようで、私の経験では、痛い順にイラガ>ヒロヘリアオイラガ>ヒメクロイラガでした(皆さんは、決して自分で確かめようなんて考えないように)。

原産は東南アジア 温暖化で北上か

ヒロヘリアオイラガの終齢幼虫

 最近では、なぜか在来種のイラガがめっきり減っているのです。そしてイラガに代わって外来種のヒロヘリアオイラガが西日本を中心に定着しています。

 ヒロヘリアオイラガはもともと、東南アジアの熱帯~亜熱帯に広く分布する南方系のガで、日本では1921年に鹿児島県で最初に採集されました。そして1980年以降になると西日本の各地で見つかるようになり、現在では関東地方以南の本州、四国、九州、沖縄などに広く分布しています。分布域の拡大は、気候温暖化の影響といわれていますが、植木の移動など人為的な要素もあると思われます。

 幼虫はカキノキ以外にも、ソメイヨシノ、カエデ、エノキ、ケヤキ、クスノキ、タブノキ、ナンキンハゼ、ミカン、アラカシなど、多くの広葉樹の葉を食べます。特に、植木や街路樹に利用されている栽培種の樹木を好みますので、人家周辺でよく見られます。そのため、庭木の手入れの際や、公園、学校などに植えられた木のそばで子供たちが遊んでいる時に被害を受けることが多いのです。

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夏秋 優(なつあき まさる)

 兵庫医科大学皮膚科学教授。1959年生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員、兵庫医科大学皮膚科学講師、助教授などを経て2021年より現職。日本衛生動物学会会長。主な専門分野は虫による皮膚疾患、皮膚疾患の漢方治療。主な著書に「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」(学研メディカル秀潤社)、「止々呂美哀歌」(NRC出版)、「医ダニ学図鑑」(共著、北隆館)、「衛生動物の事典」(共編著、朝倉書店)」など。

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