文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」

医療・健康・介護のコラム

介護離婚や別居を避けるために、夫が妻にしなければいけないこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 私の患者さんで、介護中の夫に暴言を吐かれ、疲れ果てて体調を崩した女性がいます。本当は介護を放棄して家を出ればスッキリしたのかもしれませんが、諸事情でそんなわけにはいきません。

夫は施設へ

介護離婚や別居を避けるために、夫が妻にしなければいけないこと

 私は、とりあえず夫にデイケアに行ってもらうように説得しました。説得はかなり難航しましたが、週に数回デイケアに行くだけでも妻はかなり楽になったようです。

 そのうち、夫はデイケアに行くのが楽しみになりました。男性は初めての場所や経験に対して、かなり臆病です。その敷居を取ってあげることが大切でしょう。

 デイケアに慣れて、数日間、施設に泊まるショートステイをするようになれば、妻はより自由に動くことができます。このように徐々に夫との距離を置くことによって、妻の体調はかなり良くなりました。

 夫は最終的には施設に入り、そこで亡くなりました。その後、妻はますます元気になったようです。

妻は所有物ではない

 元気な時から威圧的で支配的な夫に嫌気がさしていた妻が、その夫の介護をすることは、かなりつらい仕事に違いありません。一般的に体が不自由になれば、どこにぶつけたらいいのかわからない怒りが生じやすいといわれています。自分が動けなくなると、介護をうまくやれない妻に対して暴言を吐くというのはかなりありそうなことです。

 妻は、夫の所有物ではありません。あまりこのようなことを続けていれば、妻が家を出ていくこともあるかもしれません。体が不自由になったときに介護してくれる妻に対しては、まずは感謝をすることです。今まで威圧的な態度で接していたことは反省し、謙虚になることが見捨てられない ()(けつ) だと思います。また、できるだけ早めにデイケアやショートステイをうまく利用してください。

夫の皆さんへ

 仲の良いご夫婦でも日々の介護はつらいものです。体が不自由になったことだけでもつらいと思いますが、まずそれを受け入れて、援助してくれる妻に感謝しなければ、いずれ妻はあなたのもとを去るかもしれません。体が不自由になった上に、妻に見捨てられたらニッチもサッチもいかなくなるのは目に見えています。どう考えてもそんなバカな選択をするべきではありません。徐々に身体能力が低下し、介護が必要となった時には、意地を張らずに早めに施設への入所を考えてください。

 元気なうちから妻に対する態度を改めないと、介護離婚・別居という恐ろしい事態が現実化するでしょう。(石蔵文信 大阪大学招へい教授)

 石蔵文信さんは10月3日、お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。生前、お預かりしていた原稿があり、公開しています。記事は、こちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ishiukura-prof150

石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)

 内科・循環器・性機能専門医。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。大阪市内と都内で男性更年期外来を担当。主な著書に『夫源病』(大阪大学出版会)、『男のええ加減料理』(講談社)、『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略』(幻冬舎新書)など。自転車による発電に取り組む「日本原始力発電所協会」代表を務め、男性向けの「ええかげん料理」の教室を各地で開くほか、孫育てに疲れた高齢者がネットで集う「孫育のグチ帳」を開設するなど多彩な活動をしている。ホームページは「男性更年期 夫源病 石蔵文信

石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事