知りたい!
医療・健康・介護のニュース・解説
学校・家以外の子どもの「居場所」づくりに注目…孤立を防ぎ、自己肯定感を高めることにも期待
学校でも家庭でもない、子どもの「居場所」づくりが注目されている。異なる年齢の子どもたちが集まって楽しく、安心して過ごせる場が身近にあれば、支援が必要な子のSOSを早い段階でキャッチできたり、孤立を防いだりといったことにもつながるためだ。(石井千絵)
悩み打ち明ける子
「ドリンクは、どうなさいますか」「オーダー入りました!」。そろいのエプロンをした中学生スタッフたちの元気な声が飛び交う。
8月下旬の日曜。大阪府泉佐野市で、中学生が調理や接客を担う「こどもカフェ コッチャ」が開店した。
キッチン内では、てきぱきとスクランブルエッグを作ったり、皿にパンを並べたりする姿も。月1回のオープン日には、地域の大人たちが続々とやって来る。
NPO法人「キリンこども応援団」が、ふだん同じ場所で開いている子ども食堂に来ている中学生たちの「やってみたい」という希望をかなえる形で、今年4月に始めた。
中学生たちがメニューを考案し、接客の仕方も地域の大人を招いて学んだ。ここでは、ちょっとした失敗も含めて、大人たちが子どもたちの挑戦をあたたかく見守っている。
この日は、10人の中学生が交代で運営に参加した。2年生の坂口鈴さんは「疲れることもあるけれど、違う中学校の子たちとおしゃべりできるのが楽しい」と話す。材料費と売り上げの差額をためて、みんなで東京ディズニーランドへ遊びに行くのが目標だという。
NPO代表を務める水取博隆さん(40)は「子どもたちがわくわくする場があれば、家や学校がしんどい子も含めてみんなを包み込めると思う」と話す。現在、月に16回開いている子ども食堂を始めたのも、異なる年齢の子らが集まる「こども会」のような場をつくりたかったからだ。
「オッチャン」と呼ばれ、慕われる水取さん。「親とケンカして口をきいてない」といった家庭の悩みや、学校でのトラブルを打ち明ける子もいる。「日常的に接していると、『ちょっと言動が荒れてきたかな』と小さな変化に気付くことができる」と話す。
昨年11月、子ども食堂の場所でフリースクールの運営も始め、学校に通いづらい子どものための居場所づくりにも取り組んでいる。
1 / 2
【関連記事】