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子供のころから汗の量が多く、特に後頭部、脚の付け根、わきの下の汗がひどいのに、手足は冷えている…どの科にかかればよいのか

 やたらと汗が出る。わきの下や手のひら、足を始め、人によって様々な部位から大量の汗が出て、人知れず悩んでいる方も多いでしょう。50歳代の女性から悩みを訴える相談がヨミドクター編集部に届きました。

少し動くと汗が出るのに、手足は冷えている

 幼少期のころから汗の量が多く、30代の時には5年間漢方薬を内服しましたが、効果はあまりありませんでした。全身の発汗で特に後頭部と脚の付け根、わきの下の汗が多く、いつも熱をもっている感じがしています。暑い時は汗が止まらず、冬でも少し動くと汗がでてきます。一方で手足は氷のように冷えています。どの科を受診すればいいのかもわかりません。(女性、56歳)

 池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長の藤本智子さんに回答していただきました。

多汗症に更年期が影響している可能性も

 汗には体温調節や適度な湿度の保持などの重要な役割がありますが、大量の発汗で日常生活に支障を感じる方がいらっしゃいます。一般に多いのは、わきの下、手、足の裏などです。相談者の場合、幼少期より多汗ということですから、代謝異常などほかの病気とは関係ない多汗症と思われます。さらに現在は手足が氷のように冷たいにもかかわらず汗が多いとのことから、更年期障害以降の多汗症状も合併している可能性もあると思われました。

 汗が服ににじんでしまうとか、臭いが気になる。手のひらの汗が多いとスマホやパソコンが濡れて壊れてしまったという方もいます。悩んでいる方は市販の制汗剤を使うなどそれぞれに工夫をされていますが、最寄りの皮膚科で相談ができるでしょう。

塗り薬や内服薬、局所注射も

 わきの下に対しては現在、発汗量を抑える抗コリン作用のある外用薬が2種類あります。いずれも1日1回わきの下に塗ります。塩化アルミニウムを含む外用薬もあり、こちらは汗の出口をふさいでくれますが、刺激があって半数の方で皮膚炎が起こります。全身の症状には内服の抗コリン薬を使用することがあります。効果的ですが、眠気や口が乾く副作用が気になるかもしれません。症状が重い場合、ボツリヌス毒素製剤を局所に注射する方法があり、効果は半年ほど続きます。そのほか、わきの下にはレーザー照射も行われます。

 試験があるとか、人と会うなど汗をかきたくない場面が想定される場合、それに向けて治療を行うと、その期間の発汗をコントロールできるようになってきています。効果や副作用、体への影響、それに保険適用外の治療もありますので、費用についても説明をよく聞いて、体に負担が少ないものから行っていくといいでしょう。

少し動くと出る汗、手足の冷えには運動も

 相談者の場合、少し動くとどばっと出る汗や手足の冷えがあるとのことです。発汗能力は年齢によらずトレーニングで鍛えられることがわかっていますので、もし、普段運動をあまりしない方であれば、定期的な運動による発汗能力の向上や末消循環の改善が期待できます。筋トレやウォーキングなどを行うことで、汗を避けるだけではなく、ぜひ汗を多くかく日を作ってみてください。

藤本 智子(ふじもと ともこ)

藤本 智子(ふじもと ともこ)
 日本皮膚科学会専門医、日本発汗学会理事
 2001年浜松医科大卒業。東京医科歯科大皮膚科入局、05年同大皮膚科助教、11年多摩南部地域病院皮膚科医長、14年都立大塚病院皮膚科医長、17年池袋西口ふくろう皮膚科クリニック開院。

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