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認知症ポジティ部

医療・健康・介護のコラム

「スローレジ」でゆっくり会計 認知症になっても買い物できる 支援する動き広がる

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 認知症になっても、安心して買い物を楽しんでほしい――。そんな思いから、地域のスーパーやボランティアらが協力して、支援する動きが広がっています。「買い物する力」の維持を支える現場を訪ねました。(阿部明霞)

スローショッピング…ボランティアがお店に同行 あくまで本人のペースで

「マイヤ」岩手県のスーパー

「買い物する力」そっとアシスト…「楽しいから毎回参加」

ポイントカードを出す三上さん。パートナーの千葉さん(左)が「青色のですよ」とさりげなくサポートした(岩手県滝沢市の「マイヤ」滝沢店で)

 岩手県滝沢市のスーパー「マイヤ」滝沢店では、毎週木曜の午後に、認知症の人を対象にした「スローショッピング」と呼ばれる取り組みが行われている。

 認知症サポーターの講習を受けたボランティアが、「パートナー」として同行し、必要な時に手を差し伸べる。店も店内の表示を工夫し、優先の「スローレジ」を設け、ゆっくり会計できるようにしている。

 「買うもののメモを家に忘れちゃった」。この日が9回目の参加の三上昭子さん(72)は、今年、初期の認知症と診断されたという。

 でも、カートを押して売り場を巡り、もやし、豚肉、豆腐と次々と選んでかごに入れていく三上さんの様子に、パートナーの千葉三千代さん(74)も「メモがなくても大丈夫そうね」。売り場では、会話をしながら、転倒などの危険がないように付き添う程度だった。

 ただ、レジではポイントカードを探すのに手間取る場面も。パートナーから「青色のですよ」と声をかけられ、受け取り忘れたお釣りも「お財布にどうぞ」と手渡してもらうなど、さりげないサポートに助けられた。

 千葉さんは「重い商品を代わりに棚から取ったり、会計の場面で大丈夫かなと気にかけたり、必要な時にサポートする。何でもやってしまうわけではなくて、売り場を回りたいように回って、買い物を楽しんでもらうためのお手伝いです」と話す。

 高齢の親の買い物に子どもらが付き添うと、つい商品選びなどに口を出しすぎてしまうケースもある。ここでは、家族は他の参加者の家族と交流したり、介護の相談をしたりして、買い物が終わるのを待つ。

 三上さんの娘の平野律子さん(45)は「1人でいる時間が長かった母が、買い物を通していろいろな人との交流の機会ができ、楽しそうなことが増えた」と話す。

生活状況改善も

「買い物する力」そっとアシスト…「楽しいから毎回参加」

パートナーの熊谷さん(右)と漬けものを吟味する女性

 「これ、おいしそうね」。サツマイモのスナック菓子を手に取った女性(87)はこの日、和菓子や漬けものなども購入した。「一緒にお話ししながら買い物すると楽しいから、毎週参加している」と笑顔を見せた。

 あれこれとほしいものを選んでいくうちに、食べきれないほどの量になったり、支払額が高くなりすぎてしまったりするおそれもある。同行したパートナーの熊谷哲子さん(79)が時々、「どういう漬けものが好きなの? 両方だと多すぎるかもね」などと話しかけてどちらかを選んでもらうなど、必要以上に買いすぎないよう心を配る。

 今年の初め頃、女性は薬の飲み忘れが多く、入浴は見守りが必要な状態で、初期の認知症と診断された。ほとんど外出の機会もなかった。娘の菊池由起子さん(63)によると、スローショッピングに参加するようになってしばらくするうちに、服薬や入浴も再び1人でできるようになるなど生活状況が改善した。「毎週、参加することで、よい刺激を受けているのかもしれない」と感じている。

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