文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

日本骨髄腫患者の会

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 多発性骨髄腫は血液がんの一つです。すべてのがんの1%を占める、比較的患者数が少ないがんです。診断時の年齢中央値は70歳程度で、高齢者に多い病気です。日本骨髄腫患者の会(以下、患者の会)は、患者・家族向けの情報誌「がんばりまっしょい」を発行したり、専門医を講師に招いたセミナーを開催したりして、病気の正しい知識や新しい治療薬の情報などを提供しています。私たちが患者・家族の皆さんに何よりも知っていただきたいのは、「ここには仲間がいる」ということです。語らい合う友がここにもあそこにもいます。どうか決してそれを忘れないでください。

日本骨髄腫患者の会

群馬大学病院の医師らから話を聞く骨髄腫のセミナーの様子(2019年11月、群馬県高崎市)。残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2022年9月現在、セミナーを開催できていない

多発性骨髄腫とはどんな病気?

 多発性骨髄腫は、骨髄腫細胞というがん細胞が引き起こす多彩な症状が特徴で、骨病変による痛み、貧血によるだるさ、腎機能障害など、不快で生活の質に影響を与える症状が現れます。「多発性骨髄腫」と知らされて、すぐに病気の全体像をイメージできる人はまれで、診断された時に「生まれて初めてこういう病気があることを知った」という人も少なくありません。

新薬の登場で治療成績が大きく改善

 この病気の治療は長い間、1960年代に開発された薬が中心で、かつては、治療成績はよくありませんでした。2000年代に入って新しい効き方をする薬の開発が進んで治療成績が大きく改善しました。同時に骨の治療薬なども登場し、患者の方々の苦痛となる症状を和らげることができるようになりました。

 最近では、抗体薬など、さらに新しい治療薬が次々開発され、再発時には、治療選択に悩むことがあります。ひと昔前に比べて、治療選択肢が多いのはうれしい反面、難しい選択を迫られ戸惑う患者や家族もいます。

多発性骨髄腫情報誌「がんばりまっしょい」

 患者の会は、多発性骨髄腫の患者とその家族の方々が、病気や治療を知り、自分らしく病気とともに生活する手助けになることを目指して活動しています。

 大きな柱の一つは、多発性骨髄腫情報誌「がんばりまっしょい」の発行です。「病気や治療を知る」と言っても、患者さんごとに知りたい内容や程度は様々で、医学書や最新の論文を読んで詳しく知りたい人もいれば、先のことを次々知りたいわけではない人もいます。

 誰が手に取っても、1か所でも「このコーナーはためになった」と思える冊子となるように注意深く構成を考え、丁寧な誌面作りを心がけています。また、この冊子を手に取ることで明るい気持ちになれるように美しい写真、楽しいコラムを掲載しています。

 2020年11月に発行した「がんばりまっしょい」16号では、新型コロナウイルスの流行で不安を抱く患者に向けて、宇宙飛行士の若田光一さんら6人のメッセージを掲載しました。

id=20220908-027-OYTEI50001,rev=2,headline=false,link=false,float=center,lineFeed=true

丁寧な誌面作りを心がける多発性骨髄腫情報誌「がんばりまっしょい」。表紙のデザインも読者が笑顔になれるように工夫を凝らす

id=20220908-027-OYTEI50002,rev=2,headline=false,link=false,float=center,lineFeed=true

宇宙飛行士の若田光一さんにオンラインでインタビューした様子(2020年8月)。困難を乗り越えるすべや好きな音楽をうかがった

患者の「治りたい」を実現させる研究助成

 もう一つの大きな柱は、「多発性骨髄腫研究助成事業」です。治療薬の開発が進み、元気に長く生きることができる患者さんが増えましたが、多発性骨髄腫を完治させる治療法はまだありません。治療の選択肢が少なかったころに比べれば、状況はよくなった一方で、患者の方々が「治りたい」と思っていることに変わりありません。その「治りたい」を一日も早く実現するために、多発性骨髄腫の研究に取り組む医師、研究者に研究費を助成する活動を行っています。

日本骨髄腫学会と寄付者に支えられて

id=20220908-027-OYTEI50003,rev=2,headline=false,link=false,float=left,lineFeed=true

日本骨髄腫学会学術集会で患者の会の活動について発表する上甲恭子代表(2022年5月22日、岐阜市で)

 2本の柱のいずれも専門家によるサポートが必要です。情報誌には病態や治療法という命に関わる情報を掲載しますので、正しくてタイムリーであるために、制作には医師を中心とした専門家の協力が不可欠です。研究助成事業も同様で、研究費をどの研究課題に助成するか選考するには、深い専門知識が必要です。患者の会は、日本骨髄腫学会の大きな力添えを受けて活動しています。

 また、情報誌の制作費や研究助成金を含む活動費用のすべては、患者の会に寄せられる寄付金を原資にしています。多くの方の善意に支えられ患者の会の活動は成り立っています。

患者の会の今後 これまでもこれからも

 新型コロナウイルス感染症流行以前は、年に数回、日本各地で骨髄腫のセミナーを開催していました。再開できる日を心待ちにしています。

多発性骨髄腫が治る病気になるまで、微力ながら多発性骨髄腫の患者と家族の皆さんに寄り添い続けます。

日本骨髄腫患者の会

 1997年に設立。現在の登録者数は約3000人。多発性骨髄腫情報誌「がんばりまっしょい」の発行、研究助成事業に加え、セミナーなどイベントの開催、相談対応、行政当局との交渉、ウェブサイトの運営などを行っている。多発性骨髄腫情報誌「がんばりまっしょい」(年2回程度発行)は、患者の会に登録すると無料で受け取ることができる。詳しくは患者の会のホームページ(下記)、または、患者の会事務局(〒540-0004 大阪市中央区玉造1-4-14)まで、はがきで申し込む。

ホームページ  https://myeloma.gr.jp/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

02 200 200

公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

がん患者団体のリレー活動報告の一覧を見る

最新記事