森永康平「患者と医師のコミュ力を育てる」
医療・健康・介護のコラム
「風邪薬を3年前から毎日飲んでるよ」…お年寄りの言葉に顔が引きつった理由
以前、外来で話をうかがっていると
「風邪薬の〇〇は飲むと調子いいから、3年前から毎日飲んでるよ」
こんなふうに話すおじいさんがいらっしゃって、自分としては顔が引きつりそうになったことを覚えています。薬の名前を聞くと、おそらく誰もが耳にしたことがあるであろう 顆粒 状の総合感冒薬。ちなみに皆さんは総合感冒薬とは、どのような成分からつくられているのかご存じでしょうか。
一例を上げるとこんな感じになります(自宅にあるようでしたら、ぜひ添付文書などを見てみましょう)。
- ・アセトアミノフェン(解熱・鎮痛)
- ・クロルフェニラミン、プロメタジン(抗ヒスタミン効果:鼻汁やくしゃみの軽減)
- ・無水カフェイン(眠気の防止)
- ・デキストロメトルファン、ジヒドロコデイン(せきを鎮める、気管支を広げる)
風邪薬にはカフェインも
コーヒーや最近はやりのエナジードリンクでおなじみのカフェインが含まれていて、びっくりした人もいるのではないでしょうか? しかも決して隠し味……というほどの少量でもなく1包あたりコーヒー1杯分くらいの量が含まれています。1日3回となると結構な量にもなります。
カフェインの効果としては眠気を取るといった覚醒効果が有名です(大きな声では言えませんが、風邪薬を飲んで、「効いた!」という 爽快 感への関与は否定できないものと考えられます……)。
眠気覚ましなどで私達の生活へ深く根ざしているカフェイン飲料ですが、過剰摂取による吐き気やおう吐、震えなどの健康被害は厚生労働省からも報告されており、決して安心安全というわけではありません。
また同じ量を飲み続けていると、効果が出づらくなり、じょじょに摂取量が増えていく依存性(冒頭のおじいさんはこちらに該当すると思われます)が生じ、飲まないと頭痛や 倦怠 感などの不快な症状が次々と出現する、といった離脱症状のようなことも起こりえるのです。
また、これは個人的な感触ですが、一般的に大丈夫と規定されている量であってもカフェインの効果は個人差が多く、1、2杯であっても自律神経の乱れ(発汗や震えなど)が出る方もいますので、自分の体と相談しながらの飲用をおすすめします。
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