産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
がんタイプの性格、心臓病タイプの性格と言うけれど、行動パターンは修正できる
がんや心臓病は心の病気ではありません。遺伝子の変異や生活習慣などが引き起こす病気とされていますが、これまで「がん性格」とか、「心臓病タイプ」と性格と病気を関連付けた研究も行われてきました。病気に性格が関係するとはどういうことなのか。仮に関係するとしたら、それを改めることができるのかということについて考えてみます。
「いい人」の評価がある庶務部長が肺がんに
50歳の中島太郎さん(仮名)は気配りの人。コツコツと仕事をし、部下や周囲、家族への目配りや気配りは行き届いています。長年管理職としてもめ事などを調整し、落としどころを見つけてきました。怒りや不安という感情が湧くことはありますが、「仕事だから」と抑え込んでいます。
周りの人から、「中島さんはいい人ですよ。おかげで物事がうまく回ります」と感謝されていますが、彼のストレスはたまっていくばかり。せきが2か月以上も続き、声もかれていました。総合病院呼吸器科を受診。精密検査を受け、肺がんと診断されました。
せっかちな企画課長が狭心症を起こした
入社以来、エリートコースを歩み、37歳の若さで本社企画部企画課長に昇進した高橋浩さん(仮名)は、競争心が旺盛で、何事も数字で評価するタイプです。仕事もガンガンこなし、実績を上げています。タフな心身も自慢の一つ。4~5月は新規事業の仕事で160時間を超える残業をこなしました。
休日はゴルフに行きます。やる以上は「スコア90を切りたい」と頑張るのです。好きなゴルフでも仕事のように目標達成が重要です。その意味で気分転換ができない人です。7月の猛暑の中で行われた「社内ゴルフコンペ」中に突然、胸部に痛みを感じ、うずくまってしまいました。救急車で運ばれ入院。心臓に血液を送る血管が狭くなる狭心症でした。
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