文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

スポーツDr.大関の「ムーヴ・オン!」

医療・健康・介護のコラム

羽生選手も苦しんだ足首の捻挫、超音波で正確な診断が可能に…復帰判断も向上

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
羽生選手も苦しんだ足首の捻挫、超音波で正確な診断が可能に…復帰判断も向上

2022北京五輪でフリーの演技を終えた羽生結弦選手

 羽生結弦選手がプロに転向するという記者会見を開きました。これまでに2014年ソチ五輪と2018年平昌五輪で2大会連続金メダルを獲得し、国民栄誉賞も受賞した選手です。平昌五輪では、痛めていた足関節外側 靭帯(じんたい) 損傷の痛みと闘いながらの演技でした。羽生選手の持ち前の精神力があったと思いますが、メディカルチームも何とかして状態を改善させようと努めたことと思います。足関節を捻挫して生じる足関節外側靭帯損傷はあらゆるスポーツで起きる、最も頻度の高いけがの一つです。この捻挫の診療が劇的に変わってきました。

X線検査でわかるのは骨折の有無、靱帯は見えない

 捻挫と聞くと軽いけがに思えてしまいますが、起きていることは靭帯損傷です。そしてその程度によって復帰のタイミングも変わります。これまでの診療では多くの場合、まず単純X線検査をして骨折があるかないかを見ていました。靭帯は写らないので、押した時の痛みの場所や足関節を動かした時の不安定性などから、靭帯損傷の診断をしていました。

 しかし、近年は超音波による診療が飛躍的に広まっています。解像度が向上してきたことや、ポータブルで持ち運べる超音波装置が広まってきたこともあり、スポーツ現場で使用されることも増えています。東京ド―ムにも置いてありますので、私がチームドクターを務めるジャイアンツの選手がけがをした場合には、まず、超音波装置を使っています。X線やCT、MRIとなると病院に行く必要がありますから、超音波装置はとても便利です。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

oozeki-nobutake_prof

大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

過去コラムはこちら

スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

スポーツDr.大関の「ムーヴ・オン!」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事