スポーツDr.大関の「ムーヴ・オン!」
医療・健康・介護のコラム
羽生選手も苦しんだ足首の捻挫、超音波で正確な診断が可能に…復帰判断も向上
羽生結弦選手がプロに転向するという記者会見を開きました。これまでに2014年ソチ五輪と2018年平昌五輪で2大会連続金メダルを獲得し、国民栄誉賞も受賞した選手です。平昌五輪では、痛めていた足関節外側 靭帯 損傷の痛みと闘いながらの演技でした。羽生選手の持ち前の精神力があったと思いますが、メディカルチームも何とかして状態を改善させようと努めたことと思います。足関節を捻挫して生じる足関節外側靭帯損傷はあらゆるスポーツで起きる、最も頻度の高いけがの一つです。この捻挫の診療が劇的に変わってきました。
X線検査でわかるのは骨折の有無、靱帯は見えない
捻挫と聞くと軽いけがに思えてしまいますが、起きていることは靭帯損傷です。そしてその程度によって復帰のタイミングも変わります。これまでの診療では多くの場合、まず単純X線検査をして骨折があるかないかを見ていました。靭帯は写らないので、押した時の痛みの場所や足関節を動かした時の不安定性などから、靭帯損傷の診断をしていました。
しかし、近年は超音波による診療が飛躍的に広まっています。解像度が向上してきたことや、ポータブルで持ち運べる超音波装置が広まってきたこともあり、スポーツ現場で使用されることも増えています。東京ド―ムにも置いてありますので、私がチームドクターを務めるジャイアンツの選手がけがをした場合には、まず、超音波装置を使っています。X線やCT、MRIとなると病院に行く必要がありますから、超音波装置はとても便利です。
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