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50歳以上に多い帯状疱疹 赤い発疹と痛みが特徴 早期治療が重要 予防ワクチンの接種も検討を

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 体に潜む水ぼうそうのウイルスが、免疫力が低下した時に増殖し、皮膚症状や神経痛を引き起こす「帯状 疱疹(ほうしん) 」。50歳以上に発症しやすい病気ですが、ストレスや疲労などで若い世代に発症することもあり、コロナ禍では一層の注意が必要です。治療が遅れると、痛みがいつまでも消えない後遺症が残ることもあり、専門家は、早期治療や予防のためのワクチン接種の重要性を訴えています。

神経に潜む水ぼうそうウイルス

50歳以上に多い帯状疱疹 赤い発疹と痛みが特徴 早期治療が重要 予防ワクチンの接種も検討を

赤い帯状の発疹が特徴的な帯状疱疹(本田さん提供)

 過去に水ぼうそうにかかった人は、ウイルスが感覚神経の根元に潜んでいます。免疫力が低下すると増殖し、神経に沿って炎症による痛みを引き起こします。ウイルスが神経末端に来ると、皮膚に症状が出ます。

 上半身に発症しやすく、体の左右どちらか片側だけに生じるのが特徴です。皮膚症状は、赤い発疹がブツブツと帯状に生じ、後に水ぶくれのようになります。治療が遅れると神経のダメージが大きくなり、皮膚症状が消えた後も痛みが続く、つらい後遺症が残ることもあります。

皮膚症状が出る数日前から神経痛

 神経痛は、皮膚症状が出る数日前から始まります。肩こりや腰痛など、よくある体の痛みとの区別が難しいですが、痛みを伴う皮膚症状が出たら要注意です。皮膚科で帯状疱疹と診断されたら、少しでも早く、抗ウイルス治療薬の服用を開始することが大切です。

 帯状疱疹に詳しい「まりこの皮フ科」(横浜市鶴見区)院長の本田まりこさんは「皮膚症状が出てから、なるべく3日以内に薬の服用を開始すれば、神経に損傷が残らず、10~20日程度で完治しやすい」と話しています。抗ウイルス薬の服用期間は1週間ですが、効果が出るまでに3日程度かかるため、効果がないからと服用をやめてはいけないとのことです。

 患者の多くは50歳代以降。日本人の場合、80歳までに3人に1人はかかります。主な原因は、加齢による免疫力の低下ですが、若い人でも疲労やストレスによって免疫力が落ちれば発症することがあります。

低下した免疫が増強される機会が減っている

 近年、帯状疱疹の患者は高齢化とともに増えていますが、それ以外の増加要因もあります。本田さんは「水痘ウイルスを記憶する免疫細胞の寿命は20年ぐらい。以前は、水ぼうそうにかかった子どもや孫からウイルスをもらい、いったん低下した免疫力が増強される機会が多かった。それが、核家族の増加や、水痘ワクチンの定期接種化(2014年10月~)で水ぼうそうにかかる子どもが急減したことなどで、免疫が増強される機会が減っている」と説明します。

 今後も患者の増加傾向は続くとみられ、予防ワクチンの重要性が高まっています。帯状疱疹予防ワクチンは2種類あり、対象年齢は50歳以上です。ひとつは水痘ワクチンで、乳幼児の定期接種に使用されています。もう一つは帯状疱疹予防用に作られたワクチンです。前者の方は費用が安く、接種は1回で済みます。後者は高価で2回接種が必要ですが、予防効果は非常に高いとのことです。

 本田さんは「50歳以上ならワクチンを接種した方が安心。水ぼうそうにかかったことがないことが明らかな人は、水痘ワクチンを接種した方がいい。水ぼうそうにかかったことがある人は、効果や費用、自身の健康状態などをふまえてどちらにするか、主治医と相談してほしい」と話しています。(藤田勝)

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