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生理痛がひどい小学生の娘にピルを服用させていい? 産婦人科医の宋美玄さん、「娘が初経を迎えた瞬間にピルをすすめる」
小中学生の約6割が、小学生のうちに初経を迎えると言われています。生理痛や漏れが気になって運動や勉強に集中できないということも少なくありません。低用量ピルを小学生が服用しても問題ないのでしょうか。産婦人科医の宋美玄さんに聞きました。(聞き手 山口千尋)
生理痛を軽く、経血も少なく イライラも解消
――低用量ピルとはどんなものでしょうか。
女性の体の中では、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の二つの女性ホルモンが1か月の間に増えたり減ったりすることで、排卵や生理が起こっています。
ピルにはこの二つの女性ホルモンが含まれており、毎日服用することでホルモンの変動を少なくして低い状態で安定させ、卵巣からの排卵を抑制します。
避妊の効果が期待できるほか、子宮内膜が厚くならないため、生理中のおなかの痛みも軽くなり、経血量も少なくなります。
――そのほか、どのようなメリットが期待できますか?
排卵日前後におなかや乳房が張ったり、痛くなったりする症状(排卵痛)や、生理前にイライラしたり精神的に不調になったりするPMS(月経前症候群)も解消してくれます。
また、子宮体がんや卵巣がんになるリスクも減らしてくれますし、不妊の原因にもなる子宮内膜症の症状を軽減してくれます。
――副作用にはどのようなものがありますか?
飲み始めの頃には、頭痛や吐き気、不正出血などの症状が出ることがあります。まれに血栓症が起こる可能性がありますが、一般女性の血栓症リスクを1~5とすると、ピルを服用中の血栓症リスクは3~9です。妊娠中の女性は5~20、分娩後12週は40~65まで上がります(出典:Obstet Gynecol. 2012 Nov;120(5):1239-42. doi:)。
これらの数値は、年齢やBMI、喫煙など、人によって変動します。
ピルを飲むと乳がんになるって本当なの? 明確なデータはなし
――「ピルを飲むと乳がんになりやすい」と聞いたことがあります。
いろいろな調査はされていますが、ピルを飲んだから乳がんになったことを示す明確なデータはありません。そもそも、70歳までに女性の1割が乳がんにかかるとされているので、ピルを飲まないから乳がんにかからない、ということではないんです。
ピルの服用と乳がんは切り離して考え、ピル服用の有無にかかわらず、定期的に乳がん検診を受けることをおすすめします。
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