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大川智彦「先手を打って、病に克つ」

医療・健康・介護のコラム

体重80キロ、腹囲92センチのメタボからの脱却…必要だったのは「当たり前の生活」への覚悟だった

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 今年は予想外に梅雨が早く明けたため、なんとなく実感が薄いのですが、夏本番はこれからです。お酒好きならキンキンに冷えた生ビールと枝豆、飲まない人もアイスクリームやひんやりしたデザートなどの誘惑は、この季節の悩ましい楽しみです。暑さで食欲が落ちる一方、お酒の飲みすぎや甘いものの食べ過ぎは、栄養バランスの乱れや、糖分過多に陥りがちです。熱中症にも十分に気をつけつつ、上手に「日本の夏」を楽しむように工夫したいですね。

「遺伝的要因+生活習慣の乱れ=糖尿病」

「当たり前の生活」への覚悟があれば、肥満も血糖コントロールも

 さて、欧米人に比べて、日本人に肥満が少ないことは明白です。その一方で、不思議なことに、人口当たりの糖尿病患者数は欧米も日本もさほど変わりません。理由は、日本人はインスリンを分泌する 膵臓(すいぞう) のβ細胞の働きが 脆弱(ぜいじゃく) であるからだとされています。現在、原因遺伝子の研究が進められてきていますが、このことからも「糖尿病=生活習慣の乱れ」と決めつけることは間違いであることがわかります。

 そういっても、もともと糖尿病になりやすい体質の人に、長年の食生活の乱れや運動不足が加わることで、発症のスイッチを押してしまうことも、疑いようのない事実です。

 今から11年前、会社員のT・Sさんは私が勤務するセンターで健診を受けました。当時42歳。ちょうど「男の厄年」だったこともあり、恐る恐る健診結果をのぞき込んだところ、検査項目ごとの数値に、「基準外」を示す「*」がずらりと並んでいました。

 身長169センチに対し、体重は75キロ。主な項目だけを見ても、腹囲88センチ(基準値85センチ以下)、空腹時血糖128mg/dl(同110以下)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は5.8%(同5.5以下)、中性脂肪168mg/dl(同150以下)、血圧は140/80mm/Hg(同130/85)でした。

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大川智彦(おおかわ・ともひこ)

 佐野メディカルセンター理事。1969年、名古屋市立大医学部卒。放射線腫瘍医として (がん) 研究会病院放射線科などで勤務し、英国留学後、94年、東京女子医大放射線科主任教授に就任。その後、徳洲会病院グループ放射線科部門長、東京西徳洲会病院副院長・検診センター長、佐野メディカルセンター予防医療センター長などを歴任し、2019年より現職。

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