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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

2人目不妊のつらさ 上の子は自然妊娠、子どもができない事実に向き合えない

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1人目と同じようにいかず…… 子どもができない事実に向き合えない

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 前回のように避妊をやめて自分でタイミングをとってやってみましたが、前のように簡単にはいきませんでした。半年もたったころ、Yさんはだんだん焦りを感じてきました。「前は簡単に妊娠できたのに……」。子どもができない事実に向き合うことができませんでした。

 夫の勧めもあり、近所の産婦人科で夫婦ともに検査を受けてみると、精子の運動率がよくないものの、これと言った原因が見つかりませんでした。医師は年齢なども考慮して人工授精を勧めましたが、Yさん夫婦は人工授精に抵抗があり、タイミング法を選択。しかし、半年経ってもYさんが妊娠することはありませんでした。

人工授精、体外受精「これで妊娠できるに違いない」と期待

 治療をステップアップして人工授精を始めた時は「これで妊娠できるに違いない」と思ったそう。初めての人工授精の帰り道にはうれしい気持ちがあふれていました。やっと娘にきょうだいをつくってあげられるかと思うと、2週間後の結果が待ち遠しかったといいます。

 残念ながら、それでもYさんは妊娠できませんでした。そこから本格的な不妊治療が始まりました。

 人工授精の日には、夫の協力も必要です。朝から一緒に病院に行くか、それができない日は家で採精を行って、それを病院に持っていきます。ほぼ毎月、Yさんは人工授精を繰り返していきました。

 やがて6回目の人工授精でも妊娠できなかった時、医師から体外受精を勧められました。金額も桁外れに高くなるうえに、通院も頻回になるため悩みましたが、「体外受精をすれば、今度こそ1回で妊娠できる」と思ったYさん夫妻は、受けることを決意しました。

かさむ体外受精の費用 娘に使うはずの養育費がどんどんなくなる

 初めての体外受精は、思った以上に大変でした。通院の負担が大きく、欠勤や遅刻が増えてしまいました。部下にも周囲の人にも申し訳なく、肩身の狭い思いをしながら病院に通いながら「今度こそきっと妊娠できるはず」と信じて疑いませんでした。しかし、残念なことにYさんは妊娠できなかったのです。

 その後、治療を4回しましたが妊娠できませんでした。あっという間に費用もかさみ、仕事との両立もギリギリ。「もうこれで最後」と願いを込めて体外受精を受けましたが判定はマイナスでした。

 「娘に使うつもりの養育費がどんどんなくなってしまうことを考えると、これ以上高額な治療は続けられないから第二子は諦めるしかないかな」と夫と話していた際、不妊治療の保険適用が決まったそうです。Yさん夫妻は、その保険適用のおかげで治療を続けることにしたそうです。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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