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「ヤクルト1000」が手に入りにくい! 睡眠の質を高めるには、腸内細菌研究者の辨野義己さん「今こそ腸活に取り組むべきだ」
ヤクルト1000が飲めなくても腸内環境が整えば、睡眠の質は高められるのか
――ヤクルト1000が飲めなくても腸内環境が整えば、睡眠の質は高められるのでしょうか。
そう考えられます。腸内環境を整えるのには、良い便を作り、きちんと出すことが大切です。
便を作る材料になる野菜や豆、海藻類などの食物繊維をたくさん食べましょう。食物繊維は排出される際に、体内にある有害物質をからめとって体外に排出してくれます。また、筋肉が衰えると便を押し出すことができず、便秘になりやすくなります。腸の周りの筋肉を鍛えることも必要です。ウォーキングがおすすめですね。
――乳酸菌飲料を飲むだけでなく、食事や運動も大切なのですね。
腸内環境を改善させるのに理想的な割合は、運動が5割、食物繊維の摂取が4割、善玉菌を活性化させるヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆などの発酵食品の摂取が1割です。
乳酸菌はアルバイト的な存在 毎日摂取が必要
――そもそも乳酸菌は人間にとって、どのような働きをしているのでしょうか。
人間の大腸には1000兆個を超える細菌がすんでいます。細菌の中には、腸の調子を整えて免疫力を高めてくれるビフィズス菌などの善玉菌、有害物質を作り出す悪玉菌などがあります。
ヨーグルトや乳酸菌飲料に入っている乳酸菌は善玉菌の働きを助けてくれます。ただし、腸内にすみついてずっと働いてくれる正社員のようなビフィズス菌に比べて、乳酸菌はアルバイトのようなもの。長く腸内にとどまることはできません。そのため、毎日、ヨーグルトや乳酸菌飲料などを取るといいのです。
――腸は食べたものを消化・吸収して便を作る場所としてとらえ、腸内細菌を気にしたことがありませんでした。
大腸にいる悪玉菌が作り出す有害物質は、大腸がんや大腸ポリープなど様々な病気の原因になります。有害物質は大腸だけにとどまらず、腸管壁を通じて全身にまん延すると考えられています。まさに「腸を制することが健康を制する」です。
近年では、自閉スペクトラム症(ASD)や、アルツハイマー病など脳の疾患と腸内細菌の関係も指摘されています。
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