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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

大好きなおばあちゃんががんになりました。どのように接するのがいいでしょうか?

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大好きなおばあちゃんががんになりました。どのように接するのがいいでしょうか?

イラスト:さかいゆは

 今回も、中学生からの質問です。

 私のおばあちゃんは、最近がんと診断されて、いろいろ検査を受けているみたいです。私はおばあちゃんが大好きで、今度会いに行くのですが、どのように接するのがいいでしょうか。

話を聞いてあげるだけで、つらさや不安はやわらぐ

 おばあちゃんの病気は心配ですね。その病気が「がん」だというので、よけいに不安を感じていると思います。でも、大好きなおばあちゃんがいなくなったわけでも、別の人になってしまったわけでもありません。おばあちゃんはおばあちゃんのまま、変わっていません。ですので、今まで通り、普通に接するので大丈夫です。特別に身構える必要はなく、いつもと変わらず、楽しくおしゃべりして、甘えてしまえばいいと思います。

 特別なことをしなければいけないと思う必要はありませんが、おばあちゃんが、つらそうだったり、不安そうだったりしたら、ぜひ、話を聞いてあげてください。「つらいね」「不安だね」と答えながら、話を聞いてあげるだけでも、つらさや不安はやわらぐものです。何かをしてあげられなくても、いつも通りそばにいるだけで十分です。がんだから特別ということではなく、風邪でも腰痛でも同じことです。

 がんの話題を避ける必要もありませんし、気を使いすぎる必要もありません。どんな病状なのか、どんな検査や治療を受けているのか、聞いてみてもよいと思います。もちろん、しゃべりたくない場合もあるでしょうから、おばあちゃんの気持ちを察することも大切です。

 がんのことを話さなければいけない、ということもありませんので、別の話題で盛り上がって、病気のことなんか忘れてしまうくらいでも大丈夫です。本音をぶつけあって、けんかをしてしまうのもありです。

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 院長補佐・乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大附属病院や国立がんセンター中央病院などで経験を積んだ。2005年、東京共済病院に腫瘍内科を開設。08年、帝京大学医学部附属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に部長として赴任し、3つ目の「腫瘍内科」を立ち上げた。この間、様々ながんの診療や臨床研究に取り組むとともに、多くの腫瘍内科医を育成した。20年、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、21年には院長補佐となり、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)や、「気持ちがラクになる がんとの向き合い方」(ビジネス社)がある。

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