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【独自】エボラなど危険ウイルス侵入に備え、治療体制充実へ…関西万博で入国増見据え

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 致死性の高いエボラウイルスなど「特定一種病原体」の国内侵入に備え、厚生労働省は国立感染症研究所(感染研)などで作る研究班を近く設置し、感染者の治療体制を充実させる方針を固めた。動物実験などで治療薬の効果を調べるほか、患者発生時の治療手順も策定する。入国者の増加が予想される2025年の大阪・関西万博を見据え、感染症の危機管理を強化することが狙いだ。

 エボラ出血熱はアフリカ中央部や西部などで発生してきた。14~16年にアフリカ西部で過去最大の流行が起きた際には、日本でも疑い例が出た。主に患者の血液や体液への接触で感染するが、治療法は確立していない。

 そこで新たな研究班では、人間の培養細胞や実験動物にウイルスを感染させたうえで、抗ウイルス薬を投与し、効果や安全性を調べる。新型コロナウイルスに対しても使われている「レムデシビル」など数種類が候補に挙がっている。

 実験は、病原体を扱う実験施設として4段階のうち最も厳しい基準を満たす「BSL(バイオセーフティーレベル)4」の施設がある感染研・村山庁舎(東京都武蔵村山市)で行う。外気と遮断され、実験動物の逃走防止策もとられている。実験結果を基に、治療薬の種類、使う量やタイミングなどの治療プログラムの開発を目指す。血中ウイルス量や抗体量から病状の進行を見極めるほか、後遺症への対応にも役立てる。感染研は19年、エボラウイルスなどの病原体を初めて輸入し、高精度な検査手法を開発していたが、治療法などの評価は進んでいなかった。

 感染者が国内で発生した場合、感染研がウイルスの検査を、最先端の感染症診療を主導する国立国際医療研究センター(東京都新宿区)が患者の診断・治療を担う。研究班は、両者の連携手順の具体化も進める。政府はコロナ禍を受けて、感染研と同センターを統合し、米疾病対策センター(CDC)を手本とした「日本版CDC」を創設する方針で、一層の関係強化を図る狙いもある。

 将来的には研究班の成果を受け、全国の感染症指定医療機関などでの治療体制の充実に結びつける。

 米国立衛生研究所(NIH)でエボラウイルスの研究に携わった感染研の海老原秀喜・ウイルス第一部長は「確率は高くはないが、特定一種病原体が国内で見つかれば影響は甚大だ。治療を行う上での想定外を減らすことで、脅威の度合いを下げることができる」と話している。

  ◆特定一種病原体 =感染症法が定める危険度(病原性)が最も高い病原体で、いずれも確立した治療法はない。エボラ出血熱のほか、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、天然痘の計6種類のウイルスが指定されている。

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