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HPVワクチンって何?…事実上の接種中止から9年 積極的勧奨が再開された理由とは
子宮 頸 がんの発症予防を目的としたHPVワクチンについて、積極的に接種を勧める取り組みが9年ぶりに再開されました。接種の現状などについて、関東中央病院(東京都世田谷区)産婦人科医長の稲葉可奈子さんに話を聞きました。(聞き手・利根川昌紀)
接種率は一時、ほぼ0%
――HPVワクチンとは、どのようなものですか。
子宮頸がんを発症させる原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンです。このウイルスは200種類以上のタイプ(遺伝子型)があり、子宮頸がんの原因となるのは、13種類以上あります。
ワクチンは、このうち、発症原因の50~70%を占める「16型」と「18型」の感染を防ぐ効果があります。2013年4月に公費で受けられる定期接種に位置づけられ、「サーバリックス」か「ガーダシル」かどちらかのワクチンを計3回接種します。
しかし、接種後に体の痛みや運動障害などを訴える人が相次ぎ、国はわずか2か月後に、積極的に接種を勧める取り組みを一時中止しました。
――HPVワクチンの接種の現状を教えてください。
数年前は接種率がほぼ0%の状態でした。しかし、ここのところ、少しずつ接種する人が増えてきました。私も、子宮頸がん検診や診察に訪れた方に「お子さんは女の子でしたっけ?」などと尋ねて、ワクチンについて話題にするようにしています。積極的勧奨が中断されている間も公費で接種できるようになっていたのですが、そのことを知らない人も結構いました。
今年4月からの積極的勧奨の再開が決まると、春休みを利用してワクチンを打ちに来る若い女性が目立つようになりました。今後もワクチンのことをちゃんと知ってもらうようにしていきたいと考えています。
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