東ちづる 山あり谷ありダイアリー
医療・健康・介護のコラム
「眉間にシワ寄せて逝きたくない」…言葉通り、優しい顔でこの世を去った父
同じ年齢を迎えて思うこと
誕生月間ということで、仕事や活動仲間、事務所からお祝いをしてもらった6月。そのたびに、感謝と同時に希望や元気も湧いてきて、ホッとしていました。
実は、6月5日の朝は「とうとう62歳を迎えたなあ」とシンミリしていましたので。その日が近づくと、胸にへばりついている何かが大きくなるような感じがあったのです。
父チトシは62歳で他界しました。
自分もその年が近づいてきて、シミジミ思い始めたのです。若かったんだなあ。さんざん働いてきて、これからの人生を楽しんでほしかったなあ、と。
前回も書きましたが、誕生するということは、死に向かって生きていくということです。「おめでとう」と言われる月に、死を考えるなんて不謹慎、縁起でもないと言われそうですが、父チトシの臨終について書こうと思います。
私は両親が元気な時から、病気の告知や延命などについて話し合っていました。決してスムーズにその対話が進んだわけではありませんが、時間をかけて両親の終末のリクエストを聞き出していったのです(詳しくは、拙著「らいふ」(講談社)を読んでくださいませ)。
「延命治療はいらない」
「眉間にシワを寄せて逝きたくはない」
「骨は海にまいてほしい。葬式もお墓も無用だ」
父チトシらしい独特のリクエスト、要は遺言ということです。家族に迷惑をかけたくないという思いからだったのでしょう。「ちづるはちづるの人生じゃけねえ、自分の思うように生きたほうがええんよ。困った時はいつでも帰ってきなさい。逃げてええんじゃけ」と、妹や母ヒデコにも、同じように言っていました。ですから、自分も好きなように生きたい!ということだったのでしょう。基本的には家族第一の父でしたが、時として、自分勝手で困った人でもありました。
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