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日本が結核「蔓延国」から、初めて「低蔓延国」入りへ…患者数が欧米並みに
長年、結核の 蔓延 国と位置付けられてきた日本の患者数が減少し、厚生労働省が今夏公表する2021年の統計で、初めて欧米並みの「低蔓延国」入りする見通しであることがわかった。年間新規患者数が世界保健機関(WHO)による低蔓延国の基準(人口10万人あたり10人未満)を満たすことが確実な情勢となっている。
結核は、せきや微熱、 倦怠 感などが長く続く感染症。せきなどの 飛沫 に含まれる結核菌が空気中を漂い、空気感染で広がる。国内患者の7割は65歳以上の高齢者で、近年も毎年約2000人が死亡している。
厚労省によると、欧米では米国が人口10万人あたり3人、ドイツは同5・8人、英国は同8人(いずれも19年時点)など、多くの先進国が基準を満たしている。
一方、日本は欧米より近代化が遅れた上、戦中戦後の混乱で対策が後手に回り、1951年には同698人にも達した。その後、結核を予防するBCGワクチンや抗菌薬の普及、衛生環境の改善などで減少。近年は保健師らによる服薬指導などの対策強化で年5%のペースで患者が減少している。

厚生労働省
国は東京五輪が当初予定されていた2020年に低蔓延国入りを目指したが、同10・1人(患者数1万2739人)で、わずかに届かなかった。だが、公益財団法人結核予防会の速報値で21年は同9・0人に減少。厚労省が今年8月頃、このデータを基に統計を正式発表する。低蔓延国になれば世界に日本の感染症対策や衛生環境をアピールできる。
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