常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
思春期から妊娠・出産、更年期と、変化していく女性の体は様々な健康リスクに見舞われます。そこに、子育てや人間関係のストレスも重なって……。各年代の女性に特有な心身の悩みを乗り切るには、何に気をつければいいのでしょうか。健康診断や会社員のメンタルヘルスにも取り組む開業医、常喜眞理さんが答えます。
妊娠・育児・性の悩み
治っても茶色いシミが…月経前に繰り返す大人ニキビ 漢方薬で再発抑える
洗いすぎ注意 皮脂を適度に残す
Oさんは2週間抗菌薬を内服後、ニキビの炎症はだいぶ治まっていた。ただ、これまでもいったん良くなっては月経前にニキビの悪化を繰り返す傾向があり、ニキビ以外に月経時のおなかの張りもつらいとのことだった。ニキビ治療の推奨度としては低いが、月経時の症状を緩和するとともにニキビの再発を抑える効果が期待される 桂枝茯苓丸加薏苡仁という漢方を試してもらうことにした。
3か月ほどで肌は落ち着いた状態になったため漢方は中止し、1日2回までの洗顔と化粧水と乳液程度、ベタつくクリームなどは避けて自分の皮膚の脂も適度に大事にするようアドバイスした。洗顔は、自分の肌の調子により、朝はぬるま湯でさっと洗うだけというのがお勧めだ。
保険外の治療は、内容を吟味して
毛穴に皮脂や古い角質が詰まっている白ニキビ、詰まったものが酸化した黒ニキビといった、比較的初期の段階であれば痕が残る心配は少ないが、炎症を起こしている赤ニキビやうみを持つ黄ニキビになると、ニキビが治った後に茶色いシミができることがある。炎症によってメラニン色素の産生が増え、皮膚のターンオーバーが滞ってメラニン色素が皮膚にとどまっている状態だ。これを防ぐには、まずは適切なケアでニキビを悪化させないこと。色素沈着を促進しないよう、日焼け止めを塗って紫外線を防ぐことも忘れずに。
Oさんは幸い基本的な治療で軽快したが、悪化を繰り返し悩む女性も少なくない。その場合は保険外の治療を選択することになるが、推奨できる根拠があるものは少ない。美容皮膚科での処置は予算をきちんと決め、内容をよく吟味してから行ってほしい。また低用量ピルやホルモン治療といわれている利尿薬の内服治療は、健康状態によっては内服できない場合もあるので、まずは医師に相談してから検討してほしい。(常喜眞理 医師)
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