産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
仕事をしていれば、ストレスはつきもの。それに押しつぶされてしまうと、病気の原因にもなりますが、適度なストレスは人生のスパイス。気持ちに張りができて、仕事にもプラスに働きます。ところが、ストレスがたまっていても自分では気づきにくいこともあります。大切なのは、ストレスに気づいて、上手にコントロールすること。精神科産業医として45年以上のキャリアを持ち、現在もいくつもの企業を担当する夏目誠医師が、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。きっと参考になる事例と出会えるでしょう。
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「会社に認められていない」
メーカー2社を担当する別の産業医も、若手の声を紹介してくれました。「本格的な業務があるわけでもなく、何となく会社に行きづらいんですよ」「出勤しても、これといった仕事がないので、力の発揮しようがないんです」「どうも自分が会社で認められていない感じがして……」。そして、こう指摘しています。「リモート会議では、参加者は自分が周りからどう思われているかわからないし、出社してもマスクで顔が覆われ、表情が見えないので、どう行動してよいかわからず、つらいようですね」
「会社で認められていない」という、承認欲求が満たされない状態では、仕事への励みにならず、頑張ろうとしている人には大きなストレスになります。
産業看護職もやはり同様の訴えを聞いています。「職場内でもマスクで顔が覆われて、距離も離れているので表情がわからない。先輩や上司と会話がしにくいんです」「3密禁止なので、仕事の後で食事をするといった機会が持てず、気分転換が難しくて、うつうつとしています」……。
「文章で伝えるしかない」と上司も悩む
上司の側も難しさを感じてきました。私が関係している、ある会社の課長は「会話が自由にできないので、文章で伝えることになります。文章力の問題といえばそうかもしれませんが、直接の会話とは違って距離を感じて、当たり障りのないことしか伝えられないですね」と話していました。
身体的な距離は、心理的な距離につながる場合もあり、それを埋めるには、これまでと違ったメールなどの文章力が必要になりそうです。
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