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介護・シニア

認知症の人への熱中症対策…上手に水分補給をしてもらう方法とは

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 命の危険につながりかねない「熱中症」。その予防には、定期的な水分補給や気候に合った服装をすることなどがポイントですが、認知症の症状のため、こうした対応が苦手になるケースもあります。この夏を乗り切るために周囲が注意したい点と、高齢者自身で気をつけたい対策を考えます。(小野健太郎、阿部明霞)

いつものコップで自然に

熱中症対策に工夫

ミチ子さん(右)に水分補給の大切さを伝える長澤さん(東京都目黒区で)

 「いつもこのコップで水を飲みます。取っ手があって持ちやすいのよ」

 東京都目黒区の吉田ミチ子さん(88)がそう言って水を飲み干すと、「ケアプランセンター・ 」(品川区)のケアマネジャー、長澤かほるさん(65)は「水をしっかり飲んでいて、いいですね」と笑顔で応じた。

 ミチ子さんは軽度の認知症で、要介護1。デイサービスに週3回通い、訪問看護も週2回利用する。

 自宅ですごす時は、同居する長女の一江さん(56)が時々、コップに水をくんで持っていき、水分摂取を促す。昨年の夏、ミチ子さんに 嘔吐おうと や発熱といった熱中症のような症状が出たことがあり、「水分をしっかり取ってもらうことを意識するようになった」。塩分、糖分などを配合した「経口補水液」も活用している。

 手になじむ、ミチ子さんお気に入りの赤いコップを使うのは、このコップが出てきたら、いつもの習慣として自然に飲んでもらえるように、との思いからだ。

 長澤さんは「1杯で200ミリ・リットルほど入るから、1日にコップ5杯は飲むようにしたいですね」と一江さんにアドバイスした。

布団かけ過ぎ やんわり指摘

 長澤さんがミチ子さんを訪ねた日は雨も降り、都内の最高気温は25度前後だったが、直後の日曜は30度を超える真夏日となった。

 この日の訪問では気がかりな点もあった。ミチ子さんが、羽毛布団のほかに毛布も使っていたことだ。

 寝ていて暑くないか尋ねても自覚がない様子だったので、長澤さんは「布団をかけて寝ているだけでも、夜中に体がからからになってしまうことがあるんですよ」と心配を伝えた。ミチ子さんは「それはよくないね」と応じてくれた。

 夏場の訪問では、服装にも注意を払う。担当する利用者の中には、暑くてもたくさん着込んでしまう人もいる。そんな時も無理やり脱がせず、「寒いんですか?」などと会話を続けて、やんわりと着替えを促すという。

 初夏から梅雨の頃は、急に暑くなったり、肌寒かったりして、服装の調節は難しい。家族などのサポートも必要だが、「厚着をしている理由などをケアマネや家族が確認しつつ、繰り返し、熱中症を防ぐ行動を促していくことも大切」(長澤さん)と本人にもしっかり声をかけている。

気分良く飲んでもらう

熱中症対策に工夫

とろみをつけたお茶で水分補給する男性(東京都豊島区で)

 状況によっては、飲み物の出し方にちょっとした工夫が必要な場合がある。

 東京都豊島区で一人暮らしをしている認知症の男性(95)は要介護5。脚力の低下もあって、自宅ではほとんどベッドの上で過ごす。

 5月下旬、男性の訪問介護を担当する「まんぞく介護」(同区)のサービス提供責任者、 新垣あらかき めぐ美さん(36)は、お茶をスプーン1杯ずつ口元に運んだ。高齢になって飲み下す力が弱まると 誤嚥ごえん の危険性があるため、とろみ剤で軽くとろみをつけてある。

 「新茶を飲んでほしいと思って私が入れたんです。飲んでくれますか?」。新垣さんが明るい声でスプーンを差し出すと、「あなたが作ってくれたの? おいしい、おいしい」と男性はコップ1杯分を飲み干した。

 決まったタイミングで水分補給を促すだけでなく、「気持ちよく水分を取ってもらえるような会話」を新垣さんは心がけている。

 この男性は自分から喉の渇きを訴えることがないため、1日に複数回、食事などに合わせて利用している訪問介護で、しっかり水分を取ることが必要だ。

 「1日に何度も飲んでもらうことになるので、スポーツドリンクやほうじ茶といった、男性の好みの飲み物を何種類か用意している」(新垣さん)という。

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