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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

特殊災害に分類される新型コロナ 後遺症として睡眠障害が1年以上続くことも

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。さて、年初から始まった新型コロナウイルス感染症の第6波がようやく収束しそうですね。行動制限も徐々に緩和され、生活が正常化してきたのを実感します。ただ、感染を乗り越えて回復する方がいる一方、長引く後遺症で苦しむ方も少なからずいることが明らかになっています。重度の睡眠障害も後遺症の一つです。

医療従事者も襲った強度のストレス

第45回 特殊災害に分類される新型コロナ。後遺症として睡眠障害が1年以上続くケースもあります

 2020年1月に国内初の感染例が報告されて以降、2年以上にわたり私たちは新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に振り回されてきました。感染拡大に伴い、強い恐怖とともに、世界各国ではこれまで経験のないロックダウンが行われ、国内でも長期間にわたり社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保つ生活を強いられたのは記憶に新しいところです。

 COVID-19が始まった当初は、未知の感染症であることや、その高い致死率への恐怖感のために、患者さんだけではなく医療者にも強度のストレスがかかりました。感染が最初に報告された中国国内の34病院に勤務する1257人の医療従事者を対象にした調査では、多数のスタッフがうつ状態、不安、不眠症に陥ったと報告されました(うつ状態50.4%、不安44.6%、不眠症34%)。これらは主にストレス性の症状と考えられています。ところが実際の感染者では更に複雑な問題が生じることが明らかになりました。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本生物学的精神医学会理事、日本学術会議連携会員。著書に「不眠症治療のパラダイムシフト」(編著、医薬ジャーナル社)、「やってはいけない眠り方」(青春新書プレイブックス)、「8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識」(共著、日経BP社)などがある。

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