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医療・健康・介護のコラム

不妊治療でメンタルと夫婦関係が悪化 「子どものいない自分」を受け入れて起きたこと

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不妊治療でメンタルと夫婦関係が悪化 「子どものいない自分」を受け入れて起きたこと

 Mさんの幼い頃からの夢は、「母のようなママになること」でした。34歳で結婚してから病院で診てもらうと、「年齢的に不妊治療に入った方がいいでしょう」と言われ、結婚と同時にMさんの妊活がスタートしました。

年賀状の赤ちゃんの写真に黒い感情が顔を出し……

 Mさんの仲の良い友達は子育てで忙しく、子どもができない悩みを誰にも打ち明けられずに、引きこもりがちになっていきました。友人の妊娠を喜べず、年賀状の赤ちゃんの写真を見ると黒い感情が顔を出し、それまでは味わったことがない「悲しみ」「妬み」「敗北感」「劣等感」を感じるように。

 ネガティブな感情に心の中が支配され、Mさんの精神状態は、急激に悪化していきました。

 生理が来る度に「私の努力が足りないから」と自分を責め、体に自信をなくしてしまった上に、心のコントロールまでできなくなり、「まるで自分を他人に乗っ取られた感覚」だったといいます。

冷え切った夫婦関係 日に日に開いたギャップ

 ピリピリするMさんを見て、夫は「そこまでしなくても……」と言い、日に日にギャップが開いていくばかり。夫婦関係は冷え切り、最低限の言葉しか交わさず、目も合わせなくなりました。

 治療を開始してから2年、一向に妊娠の兆しが見えず、Mさんは人工授精、体外受精へとステップアップしました。

 夫は、生理が来る度に落ち込み、だんだんやつれて変わっていくMさんの姿を見て、「子どもを授かる前に妻が壊れてしまう」と心配。「子どもより、2人の関係を大事にしたい」と考えていました。Mさんは医師から心療内科の受診を勧められて、ようやく自分の精神状態は正常ではないことに気付いたといいます。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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