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受診先が見つかりにくい「大人のダウン症」 小児科から切れ目なく診療科を移行するには…学会が手引まとめる

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 かつては短命とされたダウン症のある人の平均寿命は、治療技術の向上で大幅に延びました。一方、大人になってから新たに受診先を探しても、「ダウン症の診療経験がない」と断られる場合が少なくありません。小児科から成人の診療科に切れ目なく移行できるよう、専門学会が手引をまとめました。(安藤奈々)

国内推計8万人

 ダウン症は、23対ある染色体のうち21番目が通常より1本多い染色体の病気です。多くの場合、知的な発達の遅れがあるほか、約4割が生まれつき心臓病を抱えています。

 国内では約500人に1人生まれ、推計8万人とされています。以前は心臓病のため20歳まで生きられないケースが多かったのですが、手術技術の向上で、平均寿命は約60歳に延びました。

 一方、大人になると、肥満やうつ病などの精神疾患といった合併症を発症しやすくなりますが、受診先が見つかりにくい問題があります。そこで、日本ダウン症学会は昨春、医療者向けに「移行医療支援ガイド」を公表しました。

 ガイドでは、心臓病など生まれつきの合併症は、小学生までの治療で落ち着くことが多いため、12歳からかかりつけの小児科医と本人、保護者で移行に向けての話し合いを始めることが望ましいとしています。

 16歳から具体的な転院先を探すなどし、20~26歳に成人の診療科へ移ることを勧めています。

 自分の症状を正確に伝えられず、症状が悪化してから受診する人もいることから、定期的な健診が必要だとしています。

医療機関は限定的

 大人になったダウン症のある人向けの専門外来をもつ医療機関もあります。

 東京女子医大病院(東京都)は、2017年に「成人 Downダウン 症候群外来」を開きました。診察や検査結果によっては、他の診療科につなぐほか、体調や生活での困りごとを本人や家族から聞きとっています。

 ただ、こうした医療機関は限られており、身近な医療機関への広がりが求められています。

 都内の女性(71)は、ダウン症の次女(34)が小学6年生の頃、主治医から「定期的な通院は不要」と言われました。生まれつきの心臓病の症状が落ち着いたためで、その後はほとんど病院にかかりませんでした。

 5年前に突然、失禁するようになり、近くのクリニックを予約しようとしたら断られ、受け入れ先が見つかるまで半年以上かかりました。女性は「出口の見えないトンネルにいるような気持ちだった。身近な病院でも受け入れが進んでほしい」と要望しています。

 同病院准教授の松尾真理さんは「いざという時に受診できるよう、小児科医と保護者が早めに準備してほしい」と話しています。

 受け入れが進まない背景に、成人のダウン症のある人の診察は、過去の病歴を踏まえた診療計画作りなどに労力と時間がかかる割に、診療報酬で評価されないことがあるとの声もあります。ガイド作成の中心となった都立北療育医療センター内科医長の竹内 千仙ちせん さんは「継続的に治療を受け入れる医療機関を増やすには、成人期の診療に対する正当な評価も必要」と指摘しています。

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