脚本家 三谷幸喜さん
一病息災
[脚本家 三谷幸喜さん]前立腺がん(2)「真田丸」降板は「絶対に嫌」…正月休みに腹腔鏡手術 退院してすぐ、執筆再開
2015年、前立腺がんと診断された。早期で、再発や転移のリスクが低いタイプ。治療法は、手術か放射線治療のいずれかだという。
どちらを選ぶか。最も気になったのは、「締め切り」との兼ね合いだ。当時は16年1月から放送されるNHK大河ドラマ「真田丸」の脚本の執筆中で、長期間の休みは、周囲に迷惑がかかる。降板するのも「絶対に嫌」と思った。
考えた結果、信頼する主治医の 頴川晋 さんが執刀する手術を受けた。1週間ほどの正月休みに入院し、前立腺を摘出した。
告知を受けた時はショックだったし、がんがどんなものか分からないという漠然とした不安はあった。でも、「僕って死んじゃうのか」という恐怖は一度も感じず、手術の当日を迎えた。
「じゃあ行ってくるねー」
ストレッチャーの上から、妻と1歳の息子にかけた言葉はさらりとしていた。
「絶対帰ってくるぞ、と深刻になるのは違うという気持ちでした」
腹部に開けた小さな穴に器具を入れて行う 腹腔 鏡手術は、数時間で終わった。術後の痛みもなく、傷痕も目立たない。術前に受けたかん腸の方がつらかった。
「もしやドッキリだったんじゃ……」と疑うほどだったが、尿を出すための管が入っているのを見て「本当に手術したんだ」と実感がわいてきた。
経過は順調で、退院してすぐ、執筆を再開した。
◇
脚本家 三谷幸喜 さん(60)
【関連記事】