誤嚥性肺炎を防ぐには
突然せき込むことが毎日のようにあります。耳鼻咽喉科と内科を受診しましたが、特に治療法は示されませんでした。 誤嚥 性肺炎が心配です。予防法を教えてください。(81歳男性)
嚥下機能維持の取り組みを
宮下 修行 関西医科大呼吸器感染症・アレルギー内科教授(大阪府枚方市)
高齢になると、脳 梗塞 やパーキンソン病、認知症などの病気のほか、寝たきり、睡眠薬や鎮静薬の影響などで 嚥下 機能が低下します。
せき込むことを「 咳 反射」といいます。質問者の場合、咳反射があるので安心ですが、これがなくなると、たんや異物が肺に入り、肺炎を発症しやすくなります。
また、加齢によって胃や食道の機能も落ち、胃の内容物が逆流して少しずつ肺の中に入ります。ここで咳反射が起きないと、肺内に分泌物が貯留し、誤嚥性肺炎になります。
いまから肺炎の予防に取り組みましょう。具体的には、〈1〉歯磨きをきちんとするなどの 口腔 ケアをする〈2〉食事前に首回しや肩の上げ下げで首回りの筋肉の緊張をほぐす「嚥下体操」を行う〈3〉頭や胸を高くして寝る――などです。
また、睡眠薬など、嚥下機能低下の原因となる薬の減量・中止を医師に相談したり、肺炎球菌ワクチンを接種したりするのも重要です。1項目だけでなく、複数取り組んでください。
自分の嚥下機能を確かめるには、エックス線で食べ物をのみ込む様子を調べる「嚥下造影検査」などがあります。まずはかかりつけ医か、呼吸器内科医に相談し、検査が受けられる施設を紹介してもらうことを勧めます。