産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
人事異動後に起こりがちな「適応障害」、予防には、気軽に質問しやすい環境作りを!
人事異動の後、新しい職場やポストに慣れるには、時間がかかるし、その間にだれしもストレスにさらされます。その変化にうまく対応できず、気持ちが落ち込み、眠れなくなるといった症状が続いて受診すると、「適応障害」と診断されることが多いと思います。砕いた表現で言えば、「出社恐怖症」「職場不適応症」と呼ぶ状態です。働く人にとって、もっとも身近な心の病気と言ってもいいでしょう。これまで約800人の適応障害の方にカウンセリングを中心にした治療をしてきて思うのは、適応障害にならないための心の持ち方や職場としての対応があるということです。
人事異動後3か月は適応障害のハイリスク期
私が尊敬する精神科医の笠原 嘉 名古屋大学名誉教授は、「人事異動後3か月はメンタル疾患が発生しやすい時期。気づきと職場関係者の配慮が必要」と指摘しています。言わば、適応障害のハイリスク期です。笠原先生のご見解と私の経験をもとに、異動後3か月の心の状態のイメージを図にしてみました。横軸に時間の経過、縦軸は私が働く地域、関西風の言い方になりますが、しんどさの程度です。「つらさ」と考えていただいて結構です。
多くの人は異動後のストレスにさらされながらも、仕事の内容や人間関係を理解しようと努めて、3か月ぐらいで慣れていきます。それが③です。
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