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読者モデル経験がある「ダブルケアラー」の女性、 かわいい介護用品を考案…ベッド用の防水シート は、コーラルピンクの北欧風

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かわいい介護用品 気分明るく…「ダブルケアラー」の女性考案

色やデザインにこだわった防水シートを手に祖母(右)と話す楠本さん(中央)

 介護をする人も、される人も、明るい気持ちになるように――。兵庫県芦屋市の楠本彩さん(38)は、そんな思いを込めた介護用品を制作し、「カワイク介護」のブランド名で販売している。

 楠本さんは約5年前から、認知症の祖母・高山玲子さん(88)を在宅で介護している。介護が始まった頃、デイサービスに通う祖母のために使いやすい靴やスリッパを探したが、福祉用品は地味な色やデザインが多かった。

 アパレル関係の仕事や女性誌の読者モデルの経験があり、おしゃれが好きな楠本さん。祖母もレースが好きで上品な洋服や靴を好んだ。「介護が始まったらおしゃれをやめるのはおかしい」と、自ら介護用品を作ることを決めた。

 初めに作ったのは、失禁した際などにベッドが汚れてしまうのを防ぐ防水シートだ。就寝時にベッドシーツや布団の上に敷いて使う。楠本さんが探した時は、地味な色の無地のものしかなかったが、裏面を華やかなコーラルピンクの北欧風のデザインにした。

 縦145センチ・メートル、横90センチ・メートルで洗濯して繰り返し使うことができる。価格は税込み8470円。同じデザインで、尿バッグを入れるウロバッグカバーも作った。

 楠本さんは長女の 仁里さとり さん(14)を育てるシングルマザーで、ダブルケアラーでもある。同世代の人に介護を身近に感じてほしいと、SNSで祖母との生活を積極的に発信している。

 「介護をしている時にかわいいものを使っていると気持ちが明るくなる。介護は『大変そう』と思われることが多いが、若い人が介護に関心を持ったり、介護のイメージが変わったりするきっかけになってほしい」と語る。(沼尻知子)

大手もデザイン見直し

かわいい介護用品 気分明るく…「ダブルケアラー」の女性考案

 介護用品のデザインを見直す動きは大手メーカーにも広がっている。大王製紙は4月、大人用紙パンツ「アテント かくさないパッケージ」=写真=を全国発売した。

 大人用の紙パンツは、パッケージに商品の写真が掲載され、一目で紙パンツとわかるものが多い。「お店で買う時や持ち帰る時に恥ずかしい」といった声が寄せられたことから、紙パンツをモチーフにした優しい色合いのパッケージを発売した。

 商品の開発には、SNSなどで介護する人の声を集めて参考にした。「パンツをはく人もお手伝いする人も気分が上がるデザイン」「部屋においていても違和感がないデザイン」などの要望があったという。

 近所に住む両親のため、紙パンツを購入している東京都の守川和子さん(63)は、「このデザインなら周りの目を気にすることなく、気兼ねなく買うことができる。自分が使う時になっても、おしゃれなものなら抵抗感を減らすことができそう」と話していた。

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