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ヨーグルトに睡眠導入剤、難病の夫を浴衣の帯で絞殺「孤独と孤立でどんどん落ちた」

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 難病を患う夫の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた愛知県一宮市、無職水野美江子被告(62)の裁判員裁判で、名古屋地裁は27日、懲役5年(求刑・懲役6年)の判決を言い渡した。夫の介助に疲れて将来を悲観したと被告は主張したが、判決は精神的ストレスがあったと認めつつも「自分勝手な考えにより殺害した責任を、軽く考えることはできない」と指摘した。(薦田大和、野崎達也)

ヨーグルトに睡眠導入剤、難病の夫を浴衣の帯で絞殺「孤独と孤立でどんどん落ちた」

名古屋地裁

 「孤独と孤立で、どんどん落ちていって苦しかった」。被告人質問で事件の原因について水野被告は声を震わせながら説明した。

 判決によると、水野被告は2020年12月27日、一宮市のホテルで、夫の勝広さん(当時65歳)の首を浴衣の帯で絞め、殺害した。

 2人は1982年に結婚し、娘2人に恵まれた。勝広さんは2013年にパーキンソン病と診断され、夫婦でウォーキングをするなどリハビリに取り組んでいたが、19年に転倒して肩を骨折してから、水野被告が介助するようになった。

 新型コロナウイルスの感染拡大後は家に籠もりがちになり、20年夏頃からは夫婦の会話が少なくなった。頭をたたかれるなど暴力を振るわれることもあり、水野被告は「肩の荷が重い」と、無理心中を考えるようになった。

 事件当日は一宮市内を観光した後、ホテルでヨーグルトなどに睡眠導入剤を混ぜて食べさせ、寝付いたことを確認し、浴衣の帯で首を絞めた。水野被告は自身も睡眠導入剤を飲み、カッターで自傷したが、そこから記憶はない。ホテルの部屋からは「悪い母親でごめんなさい」などと書かれたメモが見つかった。

 一方で、水野被告は別居する娘らに相談する機会もあったが、助言を聞くことはなかった。心の不調もあって専門機関の受診も考えたが、「コロナで外に出るのがおっくうだった」とも語った。

 判決後の説諭で、平城文啓裁判長は「裁判所として、犯行の理由が十分納得できていない。人ひとりの命を、あなたの考えだけで奪ったのではないか」と語りかけた。閉廷が告げられると、水野被告は深く頭を下げた。

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