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「胸が刺すように痛い」50代上司がホテルで意識失う…電話で指示仰ぎ心臓マッサージ
金沢市此花町の「ホテルエコノ金沢駅前」の客室で、心肺停止になった50歳代の男性に自動体外式除細動器(AED)の装着や心臓マッサージを行って救命したとして、金沢市消防局は、宝達志水町の会社員勝田充さん(40)と同ホテルに表彰状を贈った。電話で心臓マッサージの方法など、指示を仰ぎながらの救命活動だったという。

森川消防局次長から表彰状を受け取る「ホテルエコノ金沢駅前」の猪八重さん(23日、金沢市消防局で)
勝田さんや市消防局などによると、勝田さんは会社の役員会に出席するため、金沢市内の実家に滞在していた2月19日午前9時頃、上司の50歳代男性から「胸が刺すように痛い」と連絡を受けた。心配になった勝田さんは、午前10時頃、男性が宿泊していた同ホテルを訪問。男性はしんどそうにしており、「病院に行こう」などと話した後、あおむけに倒れて意識を失った。
勝田さんはすぐに119番し、消防隊が到着するまでの約5分間、AEDを客室に届けるようフロントに連絡したり、男性に心臓マッサージをしたりした。勝田さん自身は、応急手当ての訓練や講習を受けたことはなく、「まったくの素人なので、何をすればいいか教えてくれ」と電話で消防の指示を仰ぎながら手当てしたという。勝田さんは「助けたいという思いで、無我夢中だった。息をしていない人と一緒にいるのは、とても長く感じた」と振り返った。男性は回復し、3月8日に退院したという。
同ホテルは、客室にAEDを届けたり、救急隊の動線を素早く確保したりした対応が評価された。
23日に行われた表彰式で森川茂喜・消防局次長は「その場にいた皆さんのおかげで迅速な救命につながった」と感謝を述べた。
同ホテルマネジャーの 猪八重 大輔さん(40)は「無事と聞いて 安堵 した。今後も常に危機感を持って対応していきたい」と語った。
勝田さんは急用のため、表彰式を欠席したが、読売新聞の取材に「男性の奥さんから、『目が覚めた。奇跡的に障害も残らなそうだ』と連絡を受けてほっとした」と話していた。
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