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コロナ禍で依然高い自殺リスク 著名人の自殺報道を「最後の引き金」にしない

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コロナ禍で依然高い自殺リスク 著名人の自殺を「最後の引き金」にしない

「コロナ禍で自殺リスクは依然として高い」と語る清水さん

 著名な男性俳優とお笑いタレントが相次いで亡くなり、自殺とみられています。コロナ禍での著名人の相次ぐ自殺は2020年にもあり、その報道が国内の自殺者の増加にも影響を及ぼしたと言われます。同じようなことを引き起こさないためには、どうすればいいのか。コロナ禍で、国内の自殺を巡る状況はどうなっているのか。自殺対策支援NPO法人「ライフリンク」代表で、厚生労働大臣指定法人・一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」代表理事でもある清水康之さんに話を聞きました。(聞き手・藤田勝)

  ――2人の著名人が相次いで亡くなりました。自殺とみられ、大変ショッキングなニュースになりましたが、自殺対策に取り組む立場からどう思われましたか。

 日本の自殺者数は一昨年(2020年)、11年ぶりに増加しました。その背景には、有名な男性俳優や女性俳優の自殺報道の影響があったことが明らかになっています。今回の相次ぐ著名人の自殺及び、その報道が、また一昨年の自殺の増加のようなことにつながりかねないという懸念を持っています。

自宅前からの生中継 メディアに注意喚起

  ――報道の仕方に問題点がありましたか。

 目立ったのが自宅前からの生中継です。自殺の手段も伝えているなかで、非常にセンセーショナルな報道と言わざるを得ません。ここ最近、そういう形の報道がみられなかったのですが、自殺が相次いでいたことを考えると、ここで歯止めをかけないと報道が悪い方向で競い合ってどんどんセンセーショナルになっていき、自殺念慮を抱えている多くの人がネガティブな意味で影響を受けかねないと危機感を持ちました。

「いのち支える自殺対策推進センター」は、厚生労働省と連名で5月11日、各メディアに対し、例外的に1日に2回の注意喚起を行いました。

  ――それによって報道は落ち着きましたか?

 その後は抑制的になったと思います。ただ、やはり初報がすごく大事です。最初は不適切だったが今は落ち着いたからいい、ということではなく、最初からガイドライン(WHOが作成した「メディア関係者に向けた自殺対策推進のための手引き」)に沿った報道をしていただくべきでした。というのも、SNSによって初報が広く拡散されやすいからです。20年に俳優が自殺で亡くなった際も、自殺の手段まで報じた初報が最も拡散されました。

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