常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
食後の血液が「背脂ラーメンの汁」状態に…余ったカロリーの分だけ増える中性脂肪
30歳代後半のRさんは、健診結果で異常値があり相談したいと来院された。健診の結果を見せていただくと、脂質のうち中性脂肪値が224mg/dlと高値だった。
約1年前は145mg/dlと正常の上限内に収まっていた。Rさんは体調の悪さを感じることはないが、コロナ禍で運動の機会もなく、在宅勤務が増えて家から一歩も出ないことも多く、体重が2年で4キロ増加していた。
問題はLDL値だけじゃない
体重増加は血液中の中性脂肪増加や内臓脂肪増加、脂肪肝につながる。中性脂肪高値が続いている人は小型LDLコレステロールの割合が高いことがわかっている。小型LDLという言葉は耳慣れないと思うが、通常のいわゆるLDLコレステロールよりも小さいサイズの別のコレステロールだ。
小型LDLコレステロール値は保険診療の範囲で測定することはできないが、「超悪玉」といわれ、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化疾患の危険が高まる。つまり、LDLコレステロール値だけに気をつければよいわけではなく、中性脂肪も血管をいためる大きな悪者として、注意が必要だ。
中性脂肪の値は、LDLコレステロールと違い生活習慣により変動しやすい。余剰カロリー分が蓄えとして中性脂肪となる。脂肪を食べなければよいというものではなく、食事量が多く、消費カロリーオーバーとなれば中性脂肪値が上がり、脂肪組織に蓄えられる。
運動だけではダメ!
中性脂肪や体重増加の話を始めると、たいてい「最近、運動不足。運動を再開するつもりです」と答えが返ってくる。たしかに運動は筋肉を維持し、体の機能を保つために非常に大事だが、カロリー消費から考えると微々たることが多い。女性がウォーキングを1時間頑張っても、消費カロリーはショートケーキ半分強といったところだ。
運動は体の機能維持にとても大事だが、中性脂肪を下げるには食事・おやつ・果物、お酒・ジュースを減らすしかない。果物は野菜として考える方も少なくないが、日本の果物はとてもおいしく、ついつい食べすぎて中性脂肪高値の原因となりやすいため、あくまでおやつの一部としてとらえてほしい。
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