Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
「サル痘」っていったいどんな病気?
「サル痘」という感染症が、にわかに国際社会で話題になっています。いったい、どういう病気なのでしょうか。
天然痘と同じ種類のウイルス
「痘」という漢字はあまりお目にかからないものですが、「とう」と呼びます。この字は、天然痘を意味します。
天然痘は、体中に大豆のような丸々としたできものが見られるのが特徴の病気でした。「痘痕」と書いて「あばた」と読みますが、時代物の小説などを読むと、「アバタ 面 」の登場人物が描写されたりしています。痘痕は、天然痘から回復したという証しなのです。
サル痘ウイルスも天然痘ウイルスも同じ種類のウイルスで、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に分類されます。オルソポックスウイルスのうち、4種類のウイルスが人に病気を起こします。天然痘、小 痘瘡 (こちらも軽症型の天然痘を発症させる) 、牛痘、そして、サル痘です。
サル痘ウイルスは、実際にはいろいろな哺乳類に感染することが分かっています。感染する動物で一番多いのが、げっ歯類(ねずみ)で、サル痘という名前は実は間違いなんですね。
間違えても、定着してしまうと変更がききません。よくある話です。ちなみに、サル痘ウイルスの自然界の宿主(本来、ウイルスがすんでいる生物)は不明です。サルは感染すると病気になるので、本来の宿主ではありません。そういう意味でも、サル痘、サルには気の毒な名前です。
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