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教えて!ヨミドック

医療・健康・介護のニュース・解説

抗がん剤の副作用が心配…「代替療法」を受けても大丈夫?

抗がん剤の副作用が心配…「代替療法」を受けても大丈夫?

   がんと診断された友達が、抗がん剤の副作用を心配している。健康食品や「免疫を高める治療」を勧める人もいて、悩んでいるけど……。

  ヨミドック  「何とか治したい」という患者さんの気持ちはよくわかります。副作用だって少ない方がよいと思うのは当然。しかし、まず、手術や、抗がん剤などの薬物療法、放射線療法といった「標準治療」と呼ばれる治療法を選ぶべきです。正しい治療の情報を伝えてあげてください。

   でも不安そうなんだ。

   そうですね。正確な情報を与えられれば、常に合理的で最適な判断ができるとは限りません。

 人間はピンチの時、賭けに出やすいという行動経済学の研究もあります。つまり、がんという命の危機に襲われると、一発逆転を狙った特別な治療があるのではないかと思い、それを受けたくなりやすいのです。

   健康食品を使ってはいけないの?

   「代替療法」と呼ばれるものですね。患者さんの症状を緩和した報告はありますが、がんそのものに対する治療効果を明確に示した臨床研究はありません。三つのリスクがあることを知っておきましょう。

抗がん剤の副作用が心配…「代替療法」を受けても大丈夫?

 〈1〉健康被害〈2〉経済被害〈3〉機会損失です。健康食品でも、使っている薬との相性によって薬が効かなくなったり、副作用が強まったりすることがあります。経済的には、公的医療保険が利かず、高額になりがちです。標準治療を否定され、適切な治療を受ける機会を逃して症状が進み、命を落とす恐れもあります。

   標準治療って、今ひとつピンと来ないな。

   標準治療は、科学的な根拠に基づいた、現時点で最善とされる治療です。代替療法の多くは、効くかどうかわからないもの。医師から、治療方法が尽きたと告げられ、代替療法を選ぶ患者さんもいるので、全否定はできませんが……。

   どうしたらいい?

   主治医や、病院にある「がん相談支援センター」などに、「これを試したい」と伝えて相談することを勧めます。これはがんだけの問題ではありません。難病や新型コロナウイルスなどでも○○は効くという情報が出ますね。正しくリスクを知ることが大事です。(辻田秀樹/取材協力=大野智・島根大教授、三好綾・NPO法人がんサポートかごしま理事長)

 ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。

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